メディア掲載 グローバルエコノミー 2014.04.22
4月1日の消費税率引き上げが日本経済にどう影響するか注目されている。増税前の駆け込み需要と反動減がどうなるかという点に加えて、デフレからの脱却のためには、安定的な物価上昇が続くかどうかが重要になる。
日銀による異次元の金融緩和が始まった昨年4月以降、物価は上昇傾向にある。消費者物価指数(CPI、除く生鮮食品)は昨年3月に前年比マイナス0.5%だったが、本年2月はプラス1.3%となった。日銀はデフレ脱却に自信を示している。しかし、市場関係者の間では「消費者物価の2%上昇を2年で実現する」という日銀の目標は達成できないとの見方が多い。
悲観的な見方が根強いのは物価の景気感応度が落ちているからだ。物価上昇率と失業率の間には、失業率が下がれば物価上昇率が上がるという関係がある。しかし1990年代後半からその関係が顕著に弱まっている。日銀や政府が需要を刺激し失業率が下がっても物価が上昇しにくい。
長引くデフレの影響で、企業はライバルの動向に過敏になっている。需要が多少改善してもライバルは価格を上げないかもしれないと考えるので自分も上げない。皆が同様の疑心暗鬼にとらわれる結果、物価は上がらない。これが物価の景気感応度低下の原因だ。状況を打開する第一歩は、物価上昇に関する人々の予想を変えることだ。日銀は、消費者物価上昇率が2%に届くまで超金融緩和を継続すると約束することで物価予想を引き上げようとしている。・・・