コラム  国際交流  2013.06.19

安倍総理の歴史認識発言の波紋と日米中関係<米国出張報告(2013年5月19日~31日)>

◇ 日米中関係等国際政治を専門とする学者・有識者の多くが、安倍政権の経済政策であるアベノミクスは評価できるが、外交政策は十分に理解できないと述べていた。中でもとくに重く受け止められていた問題は安倍総理の歴史認識発言だった。

◇ 安倍総理の歴史認識発言について、ある著名な外交専門家は次のように指摘した。「日本の総理が歴史認識に関する発言を行う場合、その発言は学術的に正しいか否かではなく、外交政策上適当か否かという観点から評価される。」

◇ 今回の歴史認識発言によってすぐに米国が日本から中国側に傾くことは考えられないとの見方が多い。しかし、米国が日中関係の早期改善を期待している時に、明らかに中国が怒るような発言や行動を繰り返す意図が理解できないとの見方もある。

◇ 歴史認識問題を本質的に解決するには、明治維新から太平洋戦争敗戦に至るまでの歴史に対する日本人全体の認識を向上させることが重要である。そのためには、小学校から高校までの歴史教育のカリキュラムを抜本的に改めることが必要である。

◇ オバマ政権のアジア太平洋外交政策の基本方針は、第1期から第2期に移行しても大きな変更はない可能性が高いと考えるのが自然である。

◇ 米国有識者の間では、TPP交渉において、日本の農業関係者の強い抵抗が懸念材料であるとの見方が多い。一方、オバマ政権はTPP交渉を成功させたい気持ちは強いと見られている。これに対して議会は、日本、その他の国との交渉において米国側が譲歩すれば厳しく批判すると考えられる。このため関係国との最終合意内容について議会承認を得るのは難しく、年内に成立する可能性は高くないと見られている。

◇ オバマ大統領と習近平国家主席は、今後長期にわたって、米中両国の首脳として様々な議論を重ねていくことになる。今回(6月7~8日)の首脳会談で最も重視されていたのは、フランクかつ円滑に互いの意見を述べ合える、個人的な相互信頼関係を築くことだったと考えられる。

◇ 習近平政権の構造改革への取り組みについて、中国の内政事情に詳しい米国の専門家の見方は、以下の理由から慎重である。習近平国家主席にはかつての朱鎔基総理のようなカリスマ性はなく、政治基盤もそれほど強固ではない。加えて、1980年代に日本で構造改革が推進された時に重要な役割を担った元経団連会長・土光敏夫氏のような国内の強力な支持者が存在していないほか、外圧も存在しない。


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安倍総理の歴史認識発言の波紋と日米中関係<米国出張報告(2013年5月19日~31日)