コラム 国際交流 2013.03.11
◇ 第1期オバマ政権のアジアを重視する基本方針=アジア回帰(Back to Asia)は、第2期オバマ政権でも変わらない。財政難の下においても、オバマ政権の基本方針として、アジア太平洋の安全保障関係予算および防衛力は現在の水準を維持する。仮に防衛費全体を削減せざるを得ないとしてもアジア太平洋地域に割り当てる予算は小幅の減少に留めると、民主党系の専門家は見ている。
◇ これに対して共和党系の専門家の見方は異なる。中東地域で深刻な事態が発生すれば、その事態を収拾するために必要な軍事力を振り向けざるを得なくなる。その場合、アジア太平洋地域から兵力が削減されるのは必至であると見ている。そうなれば日本に対するサポートも弱まる可能性があることから、日本としてはある程度米国から独立した外交を展開する準備をしておくことが必要と指摘している。
◇ 米国の基本的な考え方としては、日中間の尖閣諸島をめぐる対立の早期解決を望んでいる。オバマ政権が最も重視している政策課題は米国経済の回復である。このため日中経済関係が早期に正常化することにより、東アジア経済が順調に発展し、米国にとって輸出増加の機会が増えていくことを期待している。米国では安倍氏が総理就任後に日本がナショナリスティックな方向に向かうことを懸念していた。しかし、総理就任後は中国への対応も冷静さを保持しており、この点が評価されている。
◇ 今回の日米首脳会談の最大の成果はTPP交渉開始の目途をつけたことであると評価されている。米国側は安倍総理の今後の交渉入りへの政治決断を期待している。そのほかにはとくに特筆すべき成果はなかったが、大きな問題が生じなかったことが良かった、全体としてはまずまずだったと評価されている。
◇ 日米関係の重要性を考えれば、米国において民主党と共和党、日本において自民党と民主党のどの政党が両国において政権与党となっても信頼・協力関係は揺らがないというのが本来望ましい日米関係である。そうした長期的な観点に立てば、安倍総理が日本では自民党だけが日米関係を支えることができる政党であることを強調し過ぎるのは日米関係にとって望ましいことではない。
◇ 米国が日本に期待する最大の貢献は経済の回復であるという点は殆どの専門家が一致している。日本経済を失われた20年から脱出させる経済構造改革を大胆に推進できるかどうかに安倍政権の真価がかかっているとの見方が多い。