メディア掲載 財政・社会保障制度 2013.03.11
自民党議員による「環太平洋経済連携に関する研究会」が2013年2月26日開催されました。その中でキヤノングローバル戦略研究所 研究主幹 松山 幸弘が講演を行い、その講演内容に対する記事が2013年2月28日の「MEDIFAXdigest」に掲載されました。
環太平洋連携協定(TPP)交渉参加に前向きな自民党議員による「環太平洋経済連携に関する研究会」は26日、TPPが日本の医療制度に与える影響について有識者から意見を聞いた。キヤノングローバル戦略研究所研究主幹の松山幸弘氏は、医療制度は各国でそれぞれ大きく異なるため、TPPの対象とすることは不可能と説明したという。
同研究会の出席者によると松山氏は、過去に県医師会が主催したシンポジウムに参加した際、参加者の多くはTPPを詳しく知らないから何となく反対だったと指摘。医療関係者にTPPの理解が広がらない理由として▽日本だけが米国の理不尽な要求を受け入れることになると考えている▽医療財源を確保するには国内の他産業の持続的成長が不可欠であり、製造業などの海外移転が進めば保険料負担者が激減することを想像できない―などを挙げ、医療分野に関する米国側の要求はTPP不成立でも従来通り続くことと併せ、TPPについて正しい理解を普及させる必要性を訴えた。
その上で、交渉参加を表明しているカナダでは州単位で医療制度が異なることなどを例に挙げ、各国で違いの大きい医療制度がTPPで交渉対象になることは不可能と分析。また、米国からの日本進出は▽株式会社の病院グループは海外進出に消極的で、仮に進出しても言い値を支払う富裕層が多い東南アジアが得策と考えている▽大学と一体になった非営利医療事業体が海外進出に熱心ではあるものの、巨額の補助金を出さない国には進出しない―とし、米国の医療サービス提供事業者にとって「日本は魅力がない」と説明した。