メディア掲載  財政・社会保障制度  2012.12.06

医薬経済学的手法による医療技術評価を考える<5> 効率的フロンティアによるイノベーション評価

医薬品医療機器レギュラトリーサイエンス PMDRS, Vol.43 No.11(2012年11月16日付)に掲載
はじめに

 2012年5月、中央社会保険医療協議会(中医協)のもとに新たに設置された費用対効果評価専門部会は、「費用対効果評価の導入における制度上の取扱いや評価手法など、診療報酬・薬価・保険医療材料価格の分野横断的に共通する論点・課題について検討を行い、全体としての評価の考え方や対応案を検討する」ことがその役割とされる。平成24年度での論点・課題(案)の概要によれば、大別して(1)医療保険制度に費用対効果の評価をどのように導入するか、(2)評価の手法における技術的な問題は何かの2点が提起されている。

 この2点は必ずしも全く独立したものではなく、どのような理念で導入をはかるのかが手法を選択し、また逆に手法のもつ可能性と限界が理念の実現を制限するといった、相互に依存しあうような関係が存在する。そこで、本論文シリーズ前回の第4回では、方法論を語る上でまず重要となる2つのキーワード、すなわちQALY(Quality-adjusted Life Years; 質調整生存年)とICER(Incremental Cost-effectiveness Ratio; 増分費用対効果比)についての誤解をとりあげ、正しい理解とは何かを考えた。しかしながら、医療経済評価導入の理念を考える時、医療イノベーションをどのようにして促進し、どのような手法で評価するのかが問題となる。そこで今回は医療イノベーションとその評価手法について考える。

<医薬品医療機器レギュラトリーサイエンス財団より許可を得て医薬品医療機器レギュラトリーサイエンスVol.43, No.11, P.1005-1009 (2012) より転載>

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医薬経済学的手法による医療技術評価を考える<5> 効率的フロンティアによるイノベーション評価