コラム 国際交流 2012.11.13
◇第3四半期の実質成長率は+7.4%と、7四半期連続で低下した。しかし、中国国内ではこの数字を深刻に受け止める見方は殆ど伺われていない。それは景気が8月でボトムを打ち、9月以降回復軌道に入ったと見られているためである。加えて、良好な雇用情勢も大きな安心材料となっている。
◇景気押上げ要因は、①金融緩和を背景とする地方のインフラ投資の増大、②不動産投資の増加、③良好な雇用情勢が支える堅調な消費等である。しかし、先行きは、①輸出の伸び悩み、②不動産取引規制の持続、③不良債権処理の増大を背景とする貸出の伸び悩み等の要因から、回復のテンポは緩やかなものになると予想されている。
◇成長率見通しは今年が7.6~7%、来年は8.0~8.2%との見方が多い。
◇日本との交流について、「中央政府内部で日本人と交流してはならないといった具体的な指示は出ていない。しかし、日中関係が最悪の状況にある中、社会全体の空気(ムード)を読んで各自が自主的な判断で日本との交流を自粛している。」
◇中国政府は今回、これまでにはないほど神経を尖らせ、徹底した管理体制の中で、表面的には反日デモが整斉と行われたように見せかけていた。それは、そこまで管理体制を強化しないと、反日デモが過激な反政府デモに転嫁するリスクが高かったという中国の内政事情がその背景にあったと考えられる。
◇現在、日中関係悪化の影響を最も深刻に受けているのは自動車関連企業であり、販売はほぼ半減している。それ以外の産業は反日デモ発生以前の水準に近いところまで回復している模様。以前から日本企業の製品・サービスを日常的に購入するリピーターとなっている消費者、企業は殆どが購入姿勢を変えていない。
◇中国側で日中関係悪化の悪影響を最も心配している組織の一つが、日本企業の誘致を狙う経済開発区である。経済開発区が日本企業の新規誘致に熱心であるのは、最近の日本企業の対中直接投資が各国の中で群を抜いて伸び続けているためである。
◇政治的な妥協に向けて両国政府が動き出すのは、来春以降、おそらく例年3月上旬に開催される全人代の前後になるのではないかとの見方が多い。一方、経済関係の交流については、早ければ12月中旬以降動き出す可能性もあると考えられる。
◇日中関係が今後どうなるかについては、当面はわからない。そこで今は判断せず、新たな状況変化に応じて判断し、柔軟かつ迅速な対応をとるべきである。