メディア掲載 外交・安全保障 2012.10.02
韓国大統領による竹島上陸で、日韓で非難の応酬が繰り広げられている。その原因は様々だ。日韓の議員外交力も大幅に低下している。次期大統領が決まってから三年間のうちに、未来志向の関係を再構築することが求められている
半月あまりで急速に悪化した日韓関係
本年八月十日、韓国の李明博大統領は同国が実効支配する島根県竹島(韓国名:独島)にヘリコプターで上陸した。韓国大統領が竹島に上陸するのは史上初、これまで如何に日韓関係が悪化しても、決して行わなかったことだ。日本政府はこれに強く抗議し、武藤正敏駐韓大使を一時帰国させた。同月十三日、李大統領は青瓦台(大統領府)での国会議長などを招いた昼食会の席で、「国際社会における日本の影響力は以前のようではない」と発言。翌十四日には韓国教員大学での懇談の場において、「(天皇陛下が)韓国を訪問したいのなら、植民地支配の独立運動で犠牲になった方々に心から謝罪をすべきだ」と述べた。これに対し日本側は「日本政府から天皇陛下のご訪問について取り上げたことはない」として強く反発した。
日本政府は竹島問題を国際司法裁判所(ICJ)に共同付託することを韓国側に提案し、同月十七日に李大統領宛の野田佳彦首相親書を送付した。これに対し韓国政府は、「そんな島(野田首相の親書に書かれている「竹島」)には行ったことがない」との李大統領の一声で日本側に親書を送り返す措置を取った。日本外務省は、「親書を受け取らないこと自体が外交慣例上有り得ない」と反発。親書を直接届けようとした在日韓国大使館職員の外務省敷地内立ち入りを認めなかった。最終的に、同大使館側は書留郵便で外務省に送付し受理された。
一方、ICJへの共同提訴に関しては、三十日に韓国外交通商部が日本側提案を正式に拒否する文書を駐韓日本大使館員に手渡した。これにより、今後日本政府は単独提訴の準備に入る方針を固めた模様だ。...