レポート 外交・安全保障 2012.09.25
今回は、今後10年以内にも起こり得る某国経済混乱の際に、日本の官民双方が政治・経済両面で難しい意思決定を求められること、更に、この種の経済的混乱への対処は、混乱が起きてからでは手遅れであり、混乱を回避するためには今から某国と周辺国が協力して様々な措置を検討しておく必要もあることなどが改めて認識された。特に、重要な教訓として以下の5点が挙げられよう。
● 東アジアの開発途上国における経済情勢の悪化が反政府抗議デモなど深刻な政治運動を伴う場合には、2008年リーマンショックの際と異なり、マクロ経済政策だけでは問題を解決できない。
● 特に、人口と経済規模が大きい場合、その国家の政治・経済的混乱は直ちに周辺国の経済のみならず、その政治的安定にも深刻な悪影響を及ぼす可能性がある。
● また、貿易収支が赤字に転落している巨大国家の経済が混乱する場合、国際社会や周辺国が打てる策には自ずから限界があり、当該当事国が参加しない国際会議もあまり機能しない。
● こうした経済的状況を短期間で改善・解決できる特効薬はほとんど存在せず、国内の政治的混乱が深まる場合には、対外的冒険主義に依存しようとする誘惑も高まる。
● 経済的混乱と政治的混乱が同時に発生する場合、エコノミストが考える経済政策と、政治家など非エコノミストが考える政策判断との間に、深刻なギャップが生ずる恐れがある。・・・・