コラム 財政・社会保障制度 2012.08.09
徴収で最も難しいのは発見されていない滞納者・脱税者を捕まえることである。発見された滞納者は滞納していると認識された者であり、どこに住んでいるか、どのくらい滞納しているかなどの状況を把握できる。しかし、発見されていない滞納者・脱税者は認識できないので、どこに潜んでいるのか、どのくらい脱税しているのか把握できない。それを見つけ出すために国税庁や地方自治体は査察や捜索を行う。これにはコストがかかっている。最もコストがかからないのは滞納者・脱税者が自主的に納税することで、いかにそれを誘導するかがコスト削減につながる。
2011年2月の当研究所コラムで紹介したが、米国では各州で「タックスアムネスティ(Tax Amnesty)」と呼ばれる税徴収のキャンペーンを不定期に突然行い成果を挙げている。タックスアムネスティとは、滞納者や脱税者に対し、一定期間の間(通常2,3か月)、滞納している税金を納めれば、その滞納していた分の罰金や延滞利息を全額もしくは一部免除するといった優遇措置制度をいう。いつ行われるかは分からないため、タックスアムネスティを見越して滞納することはできない。 このタックスアムネスティは税収確保という側面だけではなく、発見されていない滞納者・脱税者を浮かびあがらせるという点でも有効であると考える。本稿では、法人を対象としたワシントン州の事例を紹介し、日本への導入について考える。