コラム  財政・社会保障制度  2012.07.27

米国におけるID窃盗となりすまし不正還付の問題ー消費税増税とマイナンバー導入後を見据えてー

 本稿は、消費税増税とマイナンバー導入後を見据えた制度設計の必要性を述べる。

 物事の進化の後には良い面と悪い面が発生し、一定の割合で不正は起こる。昨今、私たちの生活の利便性は格段に向上したが、遠隔操作が可能になった分、振り込め詐欺のようなことも起こるようになった。本稿では米国のID窃盗と不正還付の実態を取り上げる。意外と知られていないが、日本は還付申告が多い。毎年2000万件を超える所得税の申告書が提出されているが、そのうち5割は還付申告である。還付金支払額は税収額の1/5相当を占めており、税目別でみると消費税が3~4兆円規模と圧倒的に多い。消費税の脱税と不正還付も目立っている。消費税の徴収構造にはもともと欠陥があり、このまま増税となれば問題は拡大するだろう。2015年からマイナンバーが始まると税の捕捉が行いやすり改善が期待できるが、その反面、今回取り上げる米国のようなことが遠くない将来起こりうるかもしれないと認識して制度設計する必要があると考える。



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「米国におけるID窃盗となりすまし不正還付の問題―消費税増税とマイナンバー導入後を見据えて―」