コラム  国際交流  2011.08.25

「東京=ケンブリッジ・ガゼット:グローバル戦略編」第28号(2011年8月)

小誌は大量の資料を網羅的かつ詳細に報告するものではない。ハーバードにいる一研究者である筆者が接した情報や文献を①マクロ経済、②資源・エネルギー、環境、③外交・安全保障の分野に関し整理したものである。紙面や時間の制約に加えて筆者の限られた能力という問題は有るが、小誌が少しでも役立つことを心から願っている。

 混沌とした経済社会情勢の下、政治家に対する不満と期待が同時に高まっている。しかも、この現象は欧米先進諸国だけにとどまらない。周知の通り、隣国中国は綱渡り的ではあっても羨む程の高成長を長年実現してきた。が、欧州出身の友人が嘗て「大衆の情緒性を玩弄する独裁体制(„Diktatur, beruhend auf der Ausnutzung der Emotionalität der Massen")」と皮肉混じりの賞賛を贈った中国も、インフレ昂進の中で指導者層が政策運営に苦しんでいる。そして日本も同様だ--カリフォルニア大学の星岳雄教授は、論文("Why Did Japan Stop Growing?" Jan., 2011)の結論部分で、"the political courage"を強調されている。かくして世界中で、高い志、強い責任感、そして正しい判断力を具え、人々の心を動かす指導者の"一群"が求められている。そして今、ドイツの友人と共に偉大な学者マックス・ヴェーバーの有名な言葉を思い出している--「如何なる場合にも決して挫折しない人間、自らが捧げようとする現実世界がたとえ如何に愚かで卑俗に映った時でも、それを直視し『そうであっても!』と言える人間、そういう人間のみが政治への『天職』を有するのだ(Nur wer sicher ist, daß er daran nicht zerbricht, wenn die Welt, von seinem Standpunkt aus gesehen, zu dumm oder zu gemein ist für das, was er ihr bieten will, daß er all dem gegenüber: „dennoch!" zu sagen vermag, nur der hat den „Beruf" zur Politik.)」、と。・・・


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「東京=ケンブリッジ・ガゼット:グローバル戦略編」第28号(2011年8月)