コラム  国際交流  2011.03.16

「ケンブリッジ・ガゼット:グローバル戦略編」第23号(2011年3月)

小誌は大量の資料を網羅的かつ詳細に報告するものではない。ハーバードにいる一研究者である筆者が接した情報や文献を①マクロ経済、②資源・エネルギー、環境、③外交・安全保障の分野に関し整理したものである。紙面や時間の制約に加えて筆者の限られた能力という問題は有るが、小誌が少しでも役立つことを心から願っている。

 中国の台頭とそれを静観視出来ない米国。G2という概念・表現が適切でないとしても、米中両国間の駆け引きが世界の動静を大きく左右することは衆目の一致する所である。オックスフォード大学のローズマリー・フット教授とロンドン・スクール・オブ・エコノミックスの講師、アンドリュー・ウォルター氏は、昨年12月末に発表した本の中で、軍事、マクロ経済、核拡散、地球環境、金融という5つの分野に関し精査を行い、3つのシナリオを将来展望として描き出している--即ち、①米中両国が責任を持ってグローバル・ガバナンスに注力する、②米中間で限定的・暫定的な妥協を繰り返す、③米中両国が戦略的敵対関係に流れる、と(次の2を参照)。
 またベルリンに在るシンクタンクSWPのハンス=ギュンター・ヒルペルト氏は、昨年12月半ばに発表した論文の中でEUの対中政策に関し6つの提言を行った。そしてEUの対中政策における一貫性と統一性を、また中国の重商主義的政策をマルチラテラルな場で議論する必要性を説いている。ヒルペルト氏と東京で議論した遠い昔が懐かしいが、今度はベルリンで日本とEU、そして米国やアジア太平洋諸国との対中戦略上の連携に関して語り合ってみたい・・・・


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「ケンブリッジ・ガゼット:グローバル戦略編」第23号(2011年3月)