メディア掲載  国際交流  2010.09.13

中堅・中小、サービス産業中心~始った第4次対中投資ブーム

「エコノミスト」2010年9月7日号掲載
 「第4次対中投資ブームはもう始まっていると思いますよ」
 昨年12月、ある大手銀行の中国担当幹部がこう話してくれたのが最初の情報だった。私自身、この動きはその1年前からある程度予測していた。しかし、本当にいつ始まるのかはわかっていなかった。その最初の情報を得た時も、私の予測について説明しただけで、そんな答えがすぐに返ってくるとは予期していなかった。

 中国に支店を持つ大手銀行は対中直接投資の動きをつかむのが早い。投資ブームの初期には、計画はあっても実績が数字に表れないため、統計データ上の変化は半年くらい待たなければ検証できない。しかし、企業がいきなり中国への投資を決めることはない。まず幹部を中国に派遣し、実際にビジネスの展開が可能かどうかを確かめる必要がある。その時点で企業が頼りにするのが銀行である。銀行はお金も仲介するが、同時に情報も仲介するのが重要な役割だ。中国への進出を考える企業は現地に進出している銀行を訪ねて情報を収集する。そのため銀行ではどんな企業が中国進出を考えているかを早い段階で把握できるのである。
 今年1月に上海を訪問した時には、大手邦銀の各支店の幹部は日本から中国の主要都市を訪問してくる取引先企業への対応に追われ、急に忙しくなってきたと話していた。それから半年を経た最近になって、ようやく統計データからも確認できるようになった。それを示したのが図1である。
 日本の対中直接投資の件数は2004年をピークに昨年まで減少し続けていたが、今年上半期は前年比3割増(前年比29.5%増)に転じている。一方、今年上半期の投資金額の伸びを見ると、前年比0.2%増と、ほぼ前年並みである。これは今回の投資ブームで増加している投資1件当たりの規模が小さいことを示している。

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「中堅・中小、サービス産業中心~始った第4次対中投資ブーム」(「エコノミスト」2010年9月7日号)