コラム  国際交流  2010.02.24

今年の中国経済は9%成長を達成する見通し~ 投資とともに消費が内需拡大の主役に ~

訪問地:北京、上海
期間:2010年1月25日~2月3日


<報告の主なポイント> 

○ 2009年のGDP成長率8.7%という数字は予想より強かった。これにより、最近の中国経済のファンダメンタルスは1年前に比べて大きく改善していることが改めて確認できた。 

○ 2010年の成長率は、年後半に欧米経済の回復テンポが多少下振れたとしても、第2の世界金融危機が生じない限り、9%前後またはそれ以上に達する見通しである。 

○ 今年の中国経済は消費が内需拡大の主役として位置づけられている。今年の消費は、①農民収入の増大、②内陸部での雇用機会の増大、③沿海部での農民工の賃金上昇、④最低賃金の引上げという4つの所得増加要因を背景に、堅調な推移が見込まれる。 

○ 中国政府では消費者物価上昇率が趨勢的に4%を上回ることがないようにマクロコントロールを行っている。本年前半は趨勢的に4%を上回る可能性は低いと予想されている。 

○ 中国政府は不動産ミニバブルの形成を懸念し、すでに本年1月10日に不動産投機抑制策を発表した。今後2~3カ月以内にこの政策効果が顕現化し、不動産価格の上昇テンポは徐々に鈍化すると見られている。 

○ 本年の金融政策運営は適度な緩和政策の継続とは言うものの、昨年後半の政策スタンスとは実質的な中身が異なる。今年は金融緩和が過度にならないようにすることにより大きな力点が置かれている。したがって、想定外の景気停滞に陥らない限り、今年の貸出増加額は昨年以下に抑制される見通し。 

○ 最近、国務院(中央政府)が各地の新たな産業集積形成のプロジェクトを批准するケースが増えてきている。交通・運輸・物流インフラ建設の加速を背景に全国各地で新たな産業集積地の形成が始まり、とくに昨年中は国務院の批准ラッシュとなった。 

○ 中国進出後の日本企業の生産・販売動向をみると、小売・物流関連、建設機械、鉄道関連、重電関連など、力強い拡大を続ける内需関連の業種ではフル生産、増産設備の拡張、新規参入等が相次いでいる。

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