書籍紹介

農協解体

農協解体

著者 山下 一仁
出版社 宝島社
ISBN 9784800219244
価格 本体1,200円+税
発行 2014年4月初版

山下 一仁

山下 一仁

Kazuhito Yamashita

研究主幹

[研究分野]
農業政策・貿易政策

概要

 これまでタブー視されてきた農協改革が政治のアジェンダにようやく載るようになりました。

 戦前の農業・農村を支配した地主制も、当初は真剣に農業振興に努めましたが、やがて寄生化し、戦後の農地改革で解体・消滅しました。戦後、地主制に代わり農業・農村を支配した農協制についても、同じような感想を持ちます。

 農業を発展させることを期待された農協が、農業の衰退の原因となりました。利用者である組合員が主人公であるのに、組合員は逆に農協に支配されています。組合員が安い資材を購入するために作ったはずの農協によって、組合員は高い資材価格を押しつけられているのです。

 さらに、農家以外の准組合員や員外者の利用が拡大し、農業以外の信用・共済事業が大宗を占めるようになってしまいました。農家は兼業農家となり、農協は不特定多数を相手とする信用・共済事業で発展するなど、いずれも脱農化することで繁栄しました。

 農協は、もはや〝農業〟のための組織でもないし、〝協同組合〟ともいえません。農協改革が検討されるようになったのも、必然かもしれません。

 この本が農協改革を検討する際の一助となればと期待しています。