著者 山下 一仁 他 馬田啓一・浦田秀次郎・木村福成 編著
出版社 文眞堂
ISBN 978-4-8309-4755-1
価格 本体2,800円+税
発行 2012年5月初版
山下 一仁
Kazuhito Yamashita
研究主幹
世界経済の中心がアジア太平洋地域に移りつつある中で、TPPはアジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)の実現に向けた重要なステップと位置付けられる。「21世紀のFTAモデル」と呼ばれるTPPは、高度で包括的なFTAを目指し、その参加の利益は静態的なものにとどまらず、今後の加盟国の拡大も含めた動態的な利益をも考慮しなければならない。TPPは、例外なき自由化のほか、WTOプラスの広範囲な分野も包含している。このように、TPP交渉によってアジア太平洋地域における新たな通商秩序とルールが作られようとしているときに、日本が国益上これに関与しないで済まされるはずがない。国内農業への影響や米国の対日圧力を恐れたTPP反対論が根強いなか、アジア太平洋地域の新たな通商秩序の構築に向けて、日本はいかなる戦略を持ってTPP交渉に臨むべきか。本書は、TPP推進論を唱える気鋭の研究者14名が、日本のTPP戦略の課題と展望について様々な視点から考察を試みたものである。
当研究所の山下一仁研究主幹が、第11章「TPPと農業・食の安全」(P.184~P.202)を執筆。