イベント開催報告  エネルギー・環境

NEXTGEN NUCLEAR TALKS: Radiant Voices Shaping the Future - 日米原子力若手対話イベント開催報告

2026年2月20日(金) 15:00 ~ 18:00 開催
会場:キヤノングローバル戦略研究所 会議室

エネルギー政策 規制・法制度

【趣旨】

米国の国際的な戦略コンサルであるWPAは、原子力・エネルギー分野における日米協力およびそのための人的交流の促進として1997年からSanta Fe Seminarを開催してきた。2016年に若い世代の交流に着目したSanta Fe Leadership Programを発足させ、米国の原子力業界の第一線で活躍する若手を日本に招き、福島第一原子力発電所や、青森県六ケ所村の核燃料サイクル施設の視察、および政府機関や研究機関との意見交換など行っている。今年は初の試みとして、訪日プログラムの最終日に、日本の若手との自由な意見交換の場が設けられた。“NextGen Nuclear Talks” と名付けられたこの場では、チャタムハウスルールのもと、日米の電力事業者、メーカー、規制分野の専門家、産業団体、NPO、エネルギー・脱炭素分野の民間企業がグループに分かれ、日頃の業務や立場を離れた自由な議論を行った。また、WPAマーチン会長の挨拶において重要性が強調された「日米の信頼関係」の基礎となる、人と人との交流や関係づくりも、短時間ながら積極的になされた。

【概要】

■ 日時:2026年2月20日(金)15:00~18:00
■ 会場:キヤノングローバル戦略研究所
■ 主催:キヤノングローバル戦略研究所 渡辺凛 研究員
■ 言語:英語
■ 形式:対面

【プログラム】

15:00-   開会
15:05-   WPAマーチン会長挨拶
15:10-   アイスブレイク
15:30-   講演1「日本が直面する原子力開発の課題」
15:35- 講演2「米国が直面する原子力開発の課題」
15:40-   対話1「日本における原子力開発の最大の課題」
16:15-   対話2「原子力分野における日米協力の可能性」
16:45-   閉会
17:00-   懇親会

【ディスカッション抜粋】

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ディスカッションでは、一例として次のような意見が聞かれた:

  • 日本の原子力規制はReactiveになっているが、もっとProactiveにならなければ開発は進まないのではないか。
  • 日本の規制がReactiveになる一因として、「Public acceptance対策」のために「世界で一番厳しい規制」が利用されている側面が挙げられる。原子力事業に内在するリスクを認めた上で、どのようなリスクがあり、どうやって、どの程度まで下げれば原子炉を運転して良いのか、といった、規制という営みにとって本質的な議論に着手しなければならない。そうした議論は同時に、安全や規制をめぐる社会的な懸念の緩和にもつながるはずである。
  • 事業の安全性を客観的に、サイエンスに基づいて判断する、という姿勢は非常に重要だが、原子力規制委員という人が任命されていることの意味、彼らが果たすべき責任や役割についても改めて考える必要があるのではないか。
  • 規制改革は困難である。たとえ事故を経験していない国であってもそうだ。事業者は皆、規制当局に対して何らかの不満や課題を抱えている。規制を効果的、合理的なものとするための具体的なポイントを明確にし、それに取り組むことから始めることが重要ではないか。
  • 日本には規制のあり方を検証し、見直す公的なプラットフォームが存在しない。そうした場を整えることが第一歩になるのではないか。
  • 日本の規制機関では、「独立性」の名の下にコミュニケーションが遮断されているのみならず、職員も原子力安全にとって本質的ではない業務に忙殺されており、改革に取り組む余裕はないと思われる。
  • 米国の新型炉・革新炉開発は、エネルギー省や戦争省のプログラムの下、非常に野心的に進められているが、一方で、関係企業等は政治的な目標に惑わされることなく、冷静な見通しを持って開発にあたっている。
  • 米国における新型炉・革新炉開発に向けた昨年来の規制改革は大胆であり報道等で注目を浴びているが、それまで進められてきた合理化やModernizationの方が本質的には重要である。
  • 米国のエネルギー省や戦争省と、原子力規制委員会の間では、相互に人員が派遣され、さらに被規制者も含めた緊密なコミュニケーションが行われている。これが効果的かつ安全な開発を可能にすると思う。
  • 米国の開発は現在、原子力に対する超党派的な支持に支えられているが、これは非常にラッキーなことであり、このような支持がどの時代も得られていたわけではない。
  • 日米の協力について、規制機関同士の協力と交流を今以上に増やすことが重要ではないか。
  • 日米の協力について、電力事業者や元請といった大企業のみならず、中小企業も含むサプライチェーンでの連携や、そのための標準化、規格整備等が重要になる。
  • メーカー等に関しては、米国に限らず世界全体で見れば原子力の需要は拡大する一方であり、今後、約束通りの納品ができるならば必ず需要はある(日米のサプライヤーにとって、ゼロサムゲームにはならない)。国際的なサプライチェーンに食い込んでいくことが、日本の原子力サプライチェーンの生き残り策になるはずだ。
  • 日本には、様々な炉型や燃料、廃棄物、構造材等に関する実物やデータ、ノウハウ等がある一方で、それらの多くは価値が認められず、管理主体にとって大きな負担となっている。それらの米国、あるいは世界での活用の可能性について、日本の研究機関と米国の国立研究所等でどの程度コミュニケーションが行われているのか。
  • 米国で新型炉、革新炉の実績や、原子力産業の復活の実績を作ることが、日本の不況の打破にもつながるのではないか。

【関連リンク】

Washington Policy Analysis: https://www.dcpolicyanalysis.com/
日本原子力学会 若手連絡会: https://aesj-ygn.org/