イベント開催報告  グローバルエコノミー

山下一仁研究主幹 講演会 「バターが買えない不都合な真実」

2016年7月5日(火) 14:00 ~ 16:00 開催
会場:一橋大学 一橋講堂 学術総合センター2階(東京都千代田区一ッ橋2-1-2)

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左から、福井理事長、山下氏

プログラム: ProgramPDF:146KB

講演資料: 「バターが買えない不都合な真実」PDF:1381KB

講演要旨: Speech SummaryPDF:397KB


テーマ概要

 2014年からバターが不足している。一時期スーパーからバターが消えた。「おひとり様一つに限らせていただきます」というスーパーも出た。今でもバターの売り場は以前よりも小さくなり、ニュージーランド産のバターも並んでいる。

 バターは、酪農家が生産する生乳から作られる。農林水産省は、2013年の猛暑の影響で乳牛に病気が多く発生したことや、酪農家の離農等で乳牛頭数が減少していることなどで、生乳の生産量が減少したためだと説明した。

 しかし、酪農家の離農は最近に限ったことではない。バターや脱脂粉乳などの乳製品向けの生乳の供給量もバターの生産量も、2010年や2011年の方が2013年よりも大きく減少している。それなのに、2010年、2011年に、なぜバター不足が起きなかったのだろうか?バターと同じように、脱脂粉乳の生産も減少しているのに、なぜ脱脂粉乳は不足しないのだろうか?バターは国際市場では過剰なのに、なぜバターが入ってこないのだろうか?

 これらの謎を解き明かすことで、バターが不足する本当の理由に迫りたい。


山下 一仁 略歴

 山下一仁 キヤノングローバル戦略研究所(CIGS) 研究主幹

 1955年岡山県笠岡市生まれ。77年東京大学法学部卒業、農林省入省。82年ミシガン大学にて応用経済学修士、行政学修士。2005年東京大学農学博士。農林水産省ガット室長、欧州連合日本政府代表部参事官、農林水産省地域振興課長、農村振興局次長などを歴任。08年農林水産省退職。同年経済産業研究所上席研究員。09年キヤノングローバル戦略研究所研究主幹。

 著書に「バターが買えない不都合な真実」幻冬舎16年、「日本農業は世界に勝てる」日本経済新聞出版社15年、「農協解体」宝島社14年、「日本の農業を破壊したものは誰か~農業立国に舵を切れ」講談社13年、「TPPおばけ騒動と黒幕」オークラnext新書12年、「農協の陰謀」宝島社新書11年、「環境と貿易」日本評論社11年、「農業ビッグバンの経済学」日本経済新聞出版社10年、「企業の知恵で農業革新に挑む」ダイヤモンド社10年、「亡国農政の終焉」ベスト新書09年、「フードセキュリティ」日本評論社09年、「農協の大罪」宝島社新書09年、「食の安全と貿易」日本評論社08年、「国民と消費者重視の農政改革」東洋経済新報社04年など。