イベント開催報告  外交・安全保障

宮家邦彦研究主幹 講演会 「日本の敵 -よみがえる民族主義に備えよ-」

2015年11月17日(火) 14:00 ~ 16:00 開催
会場:一橋大学 一橋講堂 学術総合センター2階(東京都千代田区一ッ橋2-1-2)

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左から、福井理事長、宮家氏

プログラム: ProgramPDF:245KB


テーマ概要
 東アジアでのパワーシフトは巨大かつ長期的な趨勢だ。東アジアの新たな安全保障環境の中で日本が生き残り、「ポスト・ポスト冷戦期」の新民族主義時代に起きる新たなパラダイム創造に参画するには、まずこの巨大な趨勢を正確に分析評価する必要がある。
 その上で、日本に必要なことが三つある。第一は、自由、民主、人権、人道、法の支配といった普遍的価値を体現する国であり続けること。
 第二は、醜い民族主義に裏打ちされた旧帝国の「力による現状変更の試み」を拒否・抑止する力を持つこと。
 そして最後に、日本の誇りある伝統を普遍的価値の論理で説明する能力を獲得することだ。日本が国際社会において守りたい伝統や価値があれば、それらを自由、民主、人権、人道、法の支配といった普遍的価値のロジックで説明する必要がある。日本が世界各国と競争しているのは国際政治であり、過去の歴史の事実関係の判断ではない。
 そのために必要なものは日本の「保守主義の進化」だ。「伝統」を守るには、時に「変化」が必要だ。普遍的価値で説明できる「伝統」は生き延び、説明できない「伝統」は滅びていく。このような変化が「伝統」を守ってきたことを忘れてはならない。
 これから10-20年の日本の国際情勢分析と安全保障政策が日本の将来を決める。日本の敵は中国でも、北朝鮮でもない。日本の真の敵は日本国内にある。


宮家 邦彦 略歴
 キヤノングローバル戦略研究所(CIGS)研究主幹/立命館大学客員教授
 1978年東京大学法学部卒業後、外務省入省。カイロ、バグダッド、ワシントン、 北京にて大使館勤務。本省では、外務大臣秘書官、中東第二課長、中東第一課長、日米安保条約課長、中東局参事官などを歴任。2005年、外務省退職後、株式会社外交政策研究所を設立。2006年立命館大学客員教授。2006-07年安倍内閣「公邸連絡調整官」として首相 夫人を補佐。2009年4月よりCIGS研究主幹(外交安保)。