イベント開催報告 グローバルエコノミー
2013年10月29日(火)
14:00
~ 16:00
開催
会場:一橋大学一橋講堂 学術総合センター2階 (東京都千代田区 一ツ橋二丁目1-2)
講演資料: 『農業立国に舵を切れ~農業は弱くない~』 PDF:4.1MB
プログラム: ProgramPDF:238KB
講演要旨: Speech SummaryPDF:352KB
質疑応答: Q&APDF:279KB
テーマ概要
農業には、次のような"常識"や"通念" がある。「規模の大きい農家は、農薬などをたくさん使う近代的な農業を行っているのに対し、貧しくて小さい農家は環境にやさしい農業を行っている。」「日本の農業は、規模も小さいので、アメリカやオーストラリアの農業とは競争できない。」これに、「だから、農業、特に小農は保護しなければならない。規模拡大による農業の効率化などとんでもない。TPP参加など論外だ。」という"主張"が続けられる。
小さい農家は貧しくて、環境にやさしい農業をしているのだろうか?これが本当なら、どうしてコメを輸出する農家が出てきているのだろうか?高齢化と人口減少で縮小する国内市場を高い関税で守るだけでは、日本農業は安楽死するしかない。日本農業は競争力のない弱者であるという通念を打ち破り、世界市場に打って出なければ、農業ばかりか、食料安全保障に必要な農地などの農業資源も維持・確保できない。戦前の日本が "生糸"という一大輸出農産物を持っていたように、農産物輸出によって通商国家としての輝きを取り戻すことはできないだろうか。農業立国の可能性を探りたい。
山下 一仁 略歴
キヤノングローバル戦略研究所研究主幹
1955年岡山県笠岡市生まれ。77年東京大学法学部卒業、農林省入省。82年ミシガン大学にて応用経済学修士、行政学修士。2005年東京大学農学博士。農林水産省ガット室長、欧州連合日本政府代表部参事官、農林水産省地域振興課長、農村振興局次長などを歴任。08年農林水産省退職。同年経済産業研究所上席研究員。09年キヤノングローバル戦略研究所研究主幹。
著書に「日本の農業を破壊したものは誰か~農業立国に舵を切れ」講談社13年、「TPPおばけ騒動と黒幕~開国の恐怖を煽った農協の遠謀~」オークラ出版12年、「環境と貿易」日本評論社11年、「農業ビッグバンの経済学」日本経済新聞社10年、「企業の知恵が農業革新に挑む」ダイヤモンド社10年、「亡国農政の終焉」ベスト新書09年、「フードセキュリティ」日本評論社09年、「農協の大罪」宝島社新書09年、「食の安全と貿易」日本評論社08年、「国民と消費者重視の農政改革」東洋経済新報社04年など。