イベント開催報告 グローバルエコノミー
2010年8月31日(火)
15:00
~ 17:00
開催
会場:新丸ビルコンファレンススクエア
日本の農業政策は、WTO・FTA交渉の障害になっているばかりか農業衰退の原因ともなっている。農家所得の維持を目的とした減反による高米価政策は、コストの高い零細な兼業農家を滞留させ企業的農家の成長を阻害する一方、高米価と補助金の二重の負担を国民に強いている。少子高齢化と人口減少によってますます減少する国内需要のみを対象とする限り、日本農業は縮小し、食料安全保障に不可欠な農業資源は減退する。
食料・農業政策を抜本的に転換することが求められている。減反政策の段階的廃止により米価を引下げ、一定規模以上の企業的農家への直接支払いを導入すれば、兼業農家から企業的農家への農地の集中を生み出し、価格競争力は高まる。関税による保護は必要でなくなるばかりか、コメの輸出も可能となる。これによって農業生産が拡大すれば、人口減少時代においても農地資源を維持し食料安全保障を確保することができる。
この講演では、我が国食料・農業政策の構造的な問題点を明らかにし、日本の未来のための農業のあるべき姿とそれを実現するための施策を明らかにする。
講演資料
農業ビッグバンの経済学-グローバル化と人口減少時代の農政改革-(513KB)
質疑応答
山下一仁 略歴
1955年岡山県笠岡市生まれ。77年東京大学法学部卒業、農林省入省。82年ミシガン大学にて応用経済学修士、行政学修士。2005年東京大学農学博士。農林水産省ガット室長、欧州連合日本政府代表部参事官、農林水産省地域振興課長、農村振興局次長などを歴任。08年農林水産省退職。同年経済産業研究所・東京財団上席研究員。09年キヤノングローバル戦略研究所研究主幹。著書に「農業ビッグバンの経済学」日本経済新聞社10年、「企業の知恵が農業革新に挑む」ダイヤモンド社10年、「亡国農政の終焉」ベスト新書09年、「フードセキュリティ」日本評論社09年、「農協の大罪」宝島社新書09年、「食の安全と貿易」日本評論社08年、「国民と消費者重視の農政改革」東洋経済新報社04年など。