外交・安全保障グループ 公式ブログ

キヤノングローバル戦略研究所外交・安全保障グループの研究員が、リレー形式で世界の動きを紹介します。

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2026年9月24日(木)

外交・安保カレンダー (9月21日-27日)

[ 2026年外交・安保カレンダー ]


今週の関心事は22日の日米と24日の米中、それぞれの首脳会談だろう。だが、「それを言っちゃオシマイよ」的結論をお許し願えれば、これらの首脳会談でも国際情勢にあまり大きな影響はないだろう、と筆者は推測する。

どうせ日本のメディアは、高市首相が台湾についてトランプ氏に「対中譲歩しないよう」ちゃんと釘を刺したのか、とか、国際刑事裁判所(ICC)に対する制裁について米側に強く申し入れたのか、といったことしか関心はないのだろうが・・・。

筆者の経験則に基づく見立ては、首脳会談で日本側は周到な準備の末、「適切(correct)な」申し入れをそれぞれ行った、というもの。但し、台湾については、二日後の米中首脳談を考えれば、日米とも詳細なやりとりなど公表できる訳がない。

後者のICC問題についても似たようなものだ。日本では赤根所長への制裁ばかり注目されるが、事の本質は所長が「日本人か否か」などではなく、ICC自体が「生き残れるか否か」であるはず。日本よりもオランダの方がはるかに困っているだろう。

ICCの問題は想像以上に複雑だ。所長が日本人か否かではなく、これまでのICCの管轄権自体の法的議論や、トランプ政権と欧州諸国間の深刻な対立、米国内の「America First感情」に関わる内政問題などが、ややこしく絡んでいるからだ。

されば、国連演説で高市総理が「赤根所長」に言及しなかったのは当然であり、かつ賢明である。ここで「赤根」といえば、日本が「法の支配」ではなく、「日本人国際公務員の名誉」だけを問題にしていると誤解されかねないからだ。

米中首脳会談もほぼ同様。中身のない象徴的な「おみやげ」はあっても、安全保障、資源、経済、貿易問題、AIなどで中国側が譲歩する可能性は殆どないと思うからだ。この点は米側も同様だから、これも10年、20年の長期戦の一環に過ぎない。

今週筆者が最も気になったのは、実はAI問題である。最近一部AI企業経営者や専門家が、現在のAIの進歩の速度は余りに驚異的であり、いずれ人間がコントロールできなくなるからスローダウンすべしと論じているが、それは元々無理な話。

米中ともに、AI技術を単なる「先端技術」の一つとしてではなく、将来「核兵器」にも匹敵する「戦略的」な死活的技術だと認識しているからだ。この点については今週のJapanTimesに詳しく書いたので、お時間があればご一読願いたい。

簡単に言えば、近い将来、AI技術は「敵対国を戦略的に無力化できる可能性を持つ」戦略的価値を秘めており、米中いずれも、①開発のペースダウンには決して応じない、②最終的に敵対国より優れた能力をあくまで追求する、に違いないと思う。

となれば、今後はAIの世界でも、核抑止論で言う「相互確証破壊(mutually assured destruction)」に似た状態が生まれるのも、最早時間の問題である。今回の米中首脳会談はその「新たなゲーム」の幕開けを予告するものとなるだろう。

さて、通常なら次は、吉岡明子主任研究員によるロシア関連コーナーだが、今週もお休みさせて頂き、続いては、いつもの通り、欧米から見た今週の世界の動きを見ていこう。欧米の外交専門家たちの今週の関心イベントは次の通りだ。

9月22日 火曜日  国連総会、米、仏大統領ほか演説
米大統領、湾岸アラブ諸国、ウクライナ、ベネズエラなどの首脳と会談
9月23日 水曜日  国連総会でイランとウクライナの大統領が演説
米大統領、ガザの「平和委員会」会合に出席
中国国家主席、米国到着
モロッコで議会選挙
クリミア・プラットフォーム会合開催(NY)
9月24日 木曜日  米中首脳会談(ホワイトハウス)
国連総会でイスラエル首相、スーダン大統領が演説
9月25日 金曜日  国連総会でパキスタン首相が演説
9月26日 土曜日  国連総会でロシア外相が演説
9月27日 日曜日  仏上院議員の半数について選挙
9月28日 月曜日  国連総会終了


最後はガザ・中東情勢だが、今週もホルムズ海峡とバーブ・ル・マンディブ海峡をめぐる状況は変わらない。ちなみに後者は、ネット上で「バブ・エル・マンデブ海峡(Bab-el-Mandeb)」などと表記されるが、より正確に言えば、アラビア語でバーブは「門」、マンディブは「悲嘆」なので、直訳すれば「悲嘆の門」海峡という意味だ。先週筆者は「最大の懸念はサウジの国内情勢」と書いた。案の定、米大統領がサウジ皇太子からの「対フーシ派攻撃」要請を拒否したと先週報じられ、その後仕方なくサウジは「イスラエルにも声を掛け始めた」などとも報じられている。今頃サウジ皇太子の腸は煮えくり返っていることだろうなぁ。背に腹は代えられないのだろうが、このように「サウジの安定を揺るがすのはいつもトランプ政権」状態が長く続くと、事態は一層深刻化するに違いない・・・。今週はこのくらいにしておこう。


2026年重要日程レポート38【9月21日版】

<今週以前から続く会議>

7月22日‐9月23日 欧州中央銀行(ECB)政策理事会(金融政策)
9月8日‐9月22日 第81回国連総会一般討論
9月14日‐9月22日 第58回ASEAN経済大臣会合(AEM)および関連会議(フィリピン)
9月17日‐9月21日 東京ゲームショウ2026年(幕張メッセ)
9月20日‐9月21日 APEC交通大臣会合(北京)
9月20日‐9月23日 コンコルディア年次サミット2026(ニューヨーク)
9月20日‐9月27日「Climate Week NYC 2026」The Climate Groupが国連・ニューヨーク市議会と共同開催する世界最大規模の気候週間(ニューヨーク)

9月

<9月21日‐9月27日>

21日 国際平和デー
21日 IAEA理事会(ウイーン)
21日 高市早苗首相が米国へ出発
21日‐9月22日 APEC人材養成大臣会合(南京)
21日‐9月25日 UNCITRAL、第4作業部会(電子商取引)、第71回会合(開催日未定)(ウイーン)
21日‐9月25日 茂木外務大臣の米国訪問
21日‐9月27日 国連観光週間2026(ケニア・ナイロビ)
21日‐10月9日 ICAO航空航法委員会、第233回会合(モントリオール、カナダ)
21日‐10月9日 ICAO、委員会段階、第239回会合(モントリオール、カナダ)
22日 国連総会一般討論演説開始(ニューヨーク)
22日 EU一般問題理事会
22日‐9月23日 カンボジア環境科学・工学会 第1回年次大会(カンボジア)
22日‐9月23日 HRテック&イノベーション・カンファレンス&エキスポ(クアラルンプール)
22日‐9月24日 国際食品加工・包装・機械見本市「MOROCCO SIEMA 2026」(モロッコ・カサブランカ)
22日‐9月25日 第22回持続性有機汚染物質審査委員会(POPRC-22)(ローマ)
22日‐10月2日 国連総会一般討論(米国・ニューヨーク)
23日 国連総会、開発権宣言採択40周年記念ハイレベル会合(ニューヨーク)
23日 気候行動・公正な移行に関するハイレベルイベント(事務総長主催)
23日 モロッコ衆議院選挙
23日 ロシア1~8月鉱工業生産指数発表
23日‐9月25日 食品展示会「Expoalimentaria 2026」(リマ)
23日‐9月26日 MIHAS 2026 - マレーシア国際ハラールショーケース(クアラルンプール)
23日‐9月26日 家具・木工展(ジャカルタ)
24日 高市首相が帰国
24日 イグ・ノーベル賞授賞式(米ボストン)
24日 国連総会、海面上昇がもたらす存亡の危機に対処するためのハイレベル全体会合(ニューヨーク)
24日 米中首脳会談(ワシントン)
24日 メキシコ金融政策決定会合
24日 EU競争力担当理事会(域内市場・産業)
24日 米国第2四半期国際収支統計発表
24日 米国第2四半期対外資産負債残高統計発表
25日 茂木外相が帰国
25日 EU競争力担当理事会(研究)
25日 パンデミック予防・備え・対応に関するハイレベル会合
25日 メキシコ8月雇用統計発表
26日‐10月1日 国連犯罪防止・刑事司法会議、第15回会合(アラブ首長国連邦)
27日‐9月29日 The Saudi Food Show 2026(リヤド)

<9月28日‐10月4日>

28日 メキシコ8月貿易統計発表
28日 ダーバン宣言採択25周年記念ハイレベル会合(ニューヨーク、UNGA)
28日‐9月29日 IDC CIO Summit Saudi Arabia(リヤド)
28日‐9月29日 EU農業水産理事会(ブリュッセル)
28日‐9月30日 第15回カンボジア最大級の国際建築・建設産業見本市(カンボジア)
28日‐10月2日 国際工業見本市(ボゴタ)
29日 核兵器の全廃に関する国際デー記念ハイレベル全体会合(ニューヨーク)
29日 玉城デニー沖縄県知事任期満了
29日 ブラジル8月全国家計サンプル調査発表
29日‐9月30日 テック・ウィーク・シンガポール(シンガポール)
30日 チリ6~8月雇用統計発表
30日 米国第2四半期GDP(確定値)発表
30日 シンガポール人口統計
30日 ドイツ8月労働市場統計発表
30日 欧州中央銀行(ECB)政策理事会(非金融政策)
30日‐10月1日 G20貿易相会合(米国・ミルウォーキー)
30日‐10月2日 UNCTAD、国際会計・報告基準に関する政府間専門家作業部会、第43回会合(ジュネーブ)

10月

1日 中国の国慶節(建国記念日)
1日 拷問等禁止委員会「拷問及び他の残虐な、非人道的な又は品位を傷つける取扱い又は刑罰に関する条約の選択議定書」締約国(第11会期)(ジュネーブ)
2日 韓国で検察庁廃止
2日 9月の米雇用統計(労働省)
4日 ブラジル大統領選
5日‐10月9日 UNCITRAL 第IV作業部会(電子商取引)第71会期(ジュネーブ)
5日‐10月9日 UNCTAD、計画案及び計画実績に関する作業部会、第91回会合(ジュネーブ)
5日‐10月30日 女子差別撤廃委員会 第93回会議(ジュネーブ)
6日 8月の米貿易収支(商務省)
9日 独立国家共同体(CIS)首脳会議(アシガバート)
10日 台湾の双十節(建国記念日)式典
11日 新潟市長選告示(25日投開票)
12日‐10月18日 パリ国際自動車ショー報道公開(一般開始は13日から)
12日‐10月18日 IMF・世界銀行の年次総会(バンコク)
25日 新潟市長選投開票
29日 ECB定例理事会(金融政策発表と記者会見)(フランクフルト)
30日 7~9月期のユーロ圏GDP速報値(EU統計局)

11月

2日‐11月6日 IMO理事会第138回会合(英国・ロンドン)
2日‐11月13日 ICAO、理事会フェーズ、第239回会議(モントリオール)
3日 米中間選挙
4日‐11月8日 UPU、管理理事会、第2回定例会合(要確認)(バーン)
7日 ITU、理事会、最終会合、2026年会議(カタール)
9日‐11月20日 国連気候変動枠組み条約第31回締約国会議(COP31)が開幕(トルコ・アンタルヤ)
11月10日‐11月15日 中国国際航空宇宙博覧会(珠海航空ショー)(広東省珠海市)
11日 集団安全保障条約機構(CSTO)首脳会議(モスクワ)


宮家 邦彦  キヤノングローバル戦略研究所理事・特別顧問