外交・安全保障グループ 公式ブログ

キヤノングローバル戦略研究所外交・安全保障グループの研究員が、リレー形式で世界の動きを紹介します。

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2026年4月30日(木)

外交・安保カレンダー (4月27日-5月3日)

[ 2026年外交・安保カレンダー ]


今週日本はゴールデンウイークの真っ最中だが、個人的には、中東ではイラン戦争「停戦」の気配が全く感じられず、ワシントンでの英国王夫妻の米国国賓訪問にも全く興奮しなかった。日本では4月29日に武道館で「昭和百年を記念する式典」が開催されたが、最近鈍感になったせいか、筆者にはあまり大きな感慨はなかった。

何故なのかなぁ、歳を取ったのかなぁ、などと考えていたら、筆者なりに理由が見えてきた。昭和とは、実に波乱万丈な時代だった。最初の20年と最後の20年ではまるで別の国のように違うからだ。だから「昭和百年記念」と言われても、あまりピンと来なかったのかもしれない。少なくとも人によって感じ方は大きく異なるだろう。

誤解のないよう申し添えるが、筆者は昭和の「最初の20年」が悪くて、「最後の20年」が良かったなどと言っている訳ではない。我々日本人は昭和の歴史をまだ十分咀嚼できていないのではないか。もし、今の時代が昭和の「最初の20年」と歴史の「韻を踏む」のだとしたら、猶更である。式典のニュースを見ながら、そう考えた次第だ。

今週筆者が最も気になったのはアラブ首長国連邦(UAE)のOPEC脱退のニュースである。UAE脱退は5月1日付で、OPEC+からも脱退する。UAEはOPEC第3位の産油国。この決定は産油国グループとって大きな転換点となるかもしれない。イラン戦争ではホルムズ海峡での海上輸送が混乱し、UAEもイランによるミサイル・ドローン攻撃を受けた。これらを踏まえての政治決断なのだろう。

UAEによれば、脱退の目的は2027年までに同国の原油生産能力を1日当たり500万バレルまで拡大していくためだそうだ。同国エネルギー相は「この措置は市場の混乱を最小限に抑えるタイミングを計った」結果であり、「価格への影響は最小限にとどまる」と強調したという。UAEが市場安定に動いたことは非常に重要である。

次は、吉岡明子主任研究員によるロシア関連コーナーだが、今週は同研究員がまとめた「イラン危機が中国に及ぼす影響とは――ロシア・メディアから」を以下の通りご紹介する。ロシア・メディアがイランと中国を如何に見ているか知る上で実に興味深い。

米トランプ政権は、5月に米中首脳会談を控える中、4月24日には対イラン制裁の一環として、中国の石油精製企業「恒力石化」を制裁対象に追加。イラン産原油を運ぶ「影の船団」の船舶約40隻なども対象とした。

今回の米・イスラエルによるイラン攻撃について、一部の識者の間では、米国の真の狙いは中国の弱体化ではないかとする見方が存在してきたが、逆に、現実にはイラン攻撃は結果的に中国を利することになるとの見方もある。

今週は、イラン危機の中国への影響についてロシアのメディアがどのように報じているか、ロシアの大手紙「独立新聞」と広い読者層を持つ大衆紙「論拠と事実」の最新の論調をそれぞれ紹介する。

◆「米国によるイラン攻撃は中国にも影響―米国の制裁が中国の海上輸送に及ぶ」、4月26日付「独立新聞」(要約)

  • 米国はイラン産原油の輸出を止めるため、圧力を拡大している。今回、米中首脳会談直前というタイミングで、中国向け輸送に関与する船舶や、中国国内の製油所にまで制裁を拡大した。
  • 中国はイラン産原油の最大の購入国であり、この取引は、海上での積み替えや仲介会社を通じた「影のネットワーク」によって維持されている。イランは見返りとして、軍が使用する化学物質や関連装備を受け取っている。
  • 先週には、米国はイラン産原油を運搬していた2隻の船舶を拿捕したほか、中国の港でロケット燃料の成分を積載した船舶「トゥスカ」もオマーン湾で拿捕した。
  • 一方で、こうした取り締まりの拡大には負担が大きく、限定的な運用にとどまっている。
  • ロシアの中国専門家アレクサンドル・ルキーンは、中国側は米国から対外取引を制約されるいわれはないとの立場にあると指摘。今後については、中国が米国に対して対抗措置を取る可能性があり、レアアースなどの輸出制限や、台湾に関連する措置が検討され得ると指摘した。


◆「ドラゴンを怒らせるな。イランとの戦争を開始することで、米国は中国に手を伸ばそうとした」4月27日付「論拠と事実」、ワシリー・カシン高等経済学院・包括的欧州国際研究センター所長へのインタビュー記事(要約)

  • 【予定される米中首脳会談】:イラン攻撃が数日以内に決定的な成功で終わっていれば、3月末には当初の予定通りトランプの北京訪問が実行され、米国に有利な形で協議が進められただろう。だが、中東での不成功で、トランプは政治的に弱体化した状態で北京に到着することになる。これは交渉結果に反映されることになるだろう。
  • 【中国のエネルギー事情】:中国の石油備蓄量は公表されていないが、推計によればおよそ4カ月分とされ、現時点での状況は安定していると分析できる。
  • 一方で、中東危機は、中国の電気自動車メーカーに大きな利益をもたらす可能性がある。
  • もちろん、ロシアとの協力関係、特に「シベリアの力2」のようなプロジェクトの実現性にも影響を与え得るだろう。5月にはプーチン大統領の訪中も予定されている。
  • 【中国の対イラン軍事支援】:中国は、最も良好な時期でさえイランへの武器供給については非常に慎重で、致死性兵器の直接的な大規模供給は長い間行われていない。一方で、中国は、イランにとって産業機器や部品の重要な供給源であり、それらがイランの軍産複合体で大きな役割を果たしてきたのは事実である。
  • 【中国が得る軍事的教訓】:中国は外国の軍事経験を重視しており、今回も戦争のあらゆる技術的側面を研究していることは間違いない。数カ月以内にも中国軍の装備や運用に新たな軍事技術的変化が現れることになるだろう。


続いては、いつもの通り、欧米から見た今週の世界の動きを見ていこう。ここでは海外の各種ニュースレターが取り上げる外交内政イベントの中から興味深いものを筆者が勝手に選んでご紹介している。欧米の外交専門家たちの今週の関心イベントは次の通りだ。

4月27日 月曜日  スウェーデンのSIPRIが軍事費に関する年次報告書発表
英国王夫妻国賓として訪米(4日間)
4月28日 火曜日  ASEAN・EU閣僚会議(ブルネイ)
4月29日 水曜日  日本、ゴールデン・ウィーク始まる
4月30日 木曜日  アンティグア・バーブーダで総選挙
5月1日 金曜日  メーデー
英国王夫妻、バミューダ訪問(2日間)
5月3日 日曜日  OPEC+月例会合


‌最後はガザ・中東情勢だが、イラン戦争については米国とイランの「チキンゲーム」、というか「我慢比べ」が続いている。報道によれば、米諜報機関はイランの原油貯蔵施設が今後2-3週間で満杯になると見ており、その後イランは対米譲歩するか、原油生産を停止するか、という究極の選択を迫られるのだそうだ。

後者であれば、イラン油田の生産能力が激減する恐れもあるらしいが、本当なのかね。あのイラン人がそのための準備をしていないはずはない、少なくとも、その程度の犠牲で怯むような民族ではないと思うのだが・・・。イランに現実派と強硬派と中間派などの派閥対立があるなんて、米国の希望的観測に近いと思うのだが・・・。

これって最後にはイランがblink(まばたきする、すなわち譲歩)するか、それとも米側がblinkするかの戦いなのか?こんな神経戦が今後2-3週間続く可能性があるのだろう。先週も書いたことだが、トランプ氏にそこまでガチンコをやる気概はあるかね?筆者は今も疑問である。

いずれにせよ、仮に米側が妥協して停戦が延長され、一時的にホルムズ海峡が開通したとしても、イランの核開発という火種は燻ぶり続けるだろうから、いずれ、そう遠くない将来、第三次イスラエル米・イラン戦争は再発する、という従来の筆者の見立ては今も変わらない。

今週はこのくらいにしておこう。


2026年重要日程レポート17【4月27日版】

<今週以前から続く会議>

4月20日‐5月1日 人権理事会、状況に関する作業部会(ニューヨーク)
4月20日‐5月1日 先住民問題に関する常設フォーラム、第25回会合(ニューヨーク)
4月20日‐5月1日 世界人権機関連盟、認定小委員会、第3回会合(ジュネーブ)
4月25日‐4月30日 第15回国連犯罪防止・刑事司法会議(アブダビ)

4月

<4月27日‐5月3日>

27日 メキシコ3月貿易統計発表
27日‐4月28日 日銀金融政策決定会合(日銀)
27日‐4月28日 チリ金融政策決定会合
27日‐4月30日 包括的核実験禁止条約機構準備委員会諮問グループ第65回会合(ウイーン)
27日‐5月1日 万国郵便連合(UPU)郵便業務理事会、第1回定例会(バーン)
27日‐5月1日 人権理事会、農民及び農村地域で働くその他の人々の権利に関する作業部会(ニューヨーク)
27日‐5月8日 情報委員会、第48回会議(米ニューヨーク)
27日‐5月15日 ICAO航空航法委員会、第232回会合(モントリオール・カナダ)
27日‐5月15日 ICAO、委員会段階、第238回会合(モントリオール・カナダ)
27日‐5月22日 第11回核拡散防止条約(NPT)再検討会議(米ニューヨーク)
28日 春の褒章発表
28日 経済・物価情勢の展望(展望リポート)(日銀)
28日‐4月29日 ブラジル中央銀行、Copom
28日‐4月29日 米国FOMC
28日‐4月29日 社民党大会(都内)
29日 カナダ中銀政策金利発表・金融政策報告書発表
29日 アルゼンチン第1四半期貿易統計発表
29日 チリ1~3月雇用統計発表
29日 オーストラリア3月CPI発表
29日 春の叙勲・外国人叙勲発表
29日 連合メーデー中央大会
29日‐4月30日 Sydney Build Expo(シドニー)
30日 ブラジル3月全国家計サンプル調査発表
30日 コロンビア3月雇用統計発表・金融政策決定会合
30日 米国2026年第1四半期GDP(速報値)発表
30日 欧州中央銀行(ECB)定例理事会(独フランクフルト)
30日 1~3月期のユーロ圏GDP速報値(EU統計局)
30日 1~3月期の米GDP速報値(商務省)
30日 3月の米PCE物価指数(商務省)
30日 4月の中国製造業購買担当者景況指数(PMI)(国家統計局)
4月以降 ミャンマー新政権発足
4月中(予定) カナダ経済声明
4月中 カーボベルデ議会選挙
4月初〜5月 第16期の第1回の国会会議(ベトナム)

5月

1日‐5月5日 中国輸出入商品交易会(広州)
3日‐5月6日 セレクトUSA投資サミット(メリーランド州ナショナルハーバー)
3日‐5月6日 アジア開発銀行(ADB)第59回年次総会(ウズベキスタン・サマルカンド)
4日 インドネシア3月貿易統計発表
4日 インドネシア4月CPI発表
4日 カザフスタン4月CPI発表
4日‐5月8日 万国郵便連合(UPU)行政評議会、第1回定例会(バーン)
4日‐5月29日 児童の権利に関する委員会、第101回会議(ジュネーブ)
4日‐5月29日 総会、第5委員会、再開会期の後半(ニューヨーク)
4日‐6月10日 エリザベート王妃国際音楽コンクール(チェロ部門)(ブリュッセル)
5日 アルメニア・EU首脳会議(アルメニア・エレバン)
5日 コロンビア3月輸出統計発表
5日 米国3月貿易統計発表
5日‐5月8日 総会、国際移民検討フォーラム(IMRF)(ニューヨーク)
6日 パレスチナ人民の不可侵の権利行使に関する委員会、国連パレスチナ問題国際会議(ブラッセル)
6日‐5月7日 経済社会理事会、持続可能な開発目標のための科学技術イノベーションに関するマルチステークホルダーフォーラム(ニューヨーク)
7日 メキシコ4月CPI発表・金融政策決定会合
7日 ブラジル3月鉱工業生産指数発表
7日 英地方選・スコットランド議会選
8日 米国4月雇用統計
8日 カナダ4月雇用統計発表
8日 チリ4月CPI発表
9日 ロシアで対独戦勝記念日
9日 3月の米CPI(労働省)
10日 ベナン大統領選挙決選投票
11日 EU外相理事会(ブリュッセル)
11日‐5月12日 国際連合越境組織犯罪防止条約締約国会議、銃器作業部会、第13回会合(ウイーン)
11日‐5月15日 国連森林フォーラム、第21回会合(ニューヨーク)
12日 EU国防相理事会(ブリュッセル)
12日 メキシコ3月鉱工業生産指数発表
12日 カザフスタン第1四半期雇用統計発表
12日 ブラジル4月IPCA発表
12日 米国4月CPI発表
13日 ブラジル3月月間小売り調査発表
13日 イスラエル4月財貿易統計発表 
14日 アルゼンチン4月CPI発表
14日 米国4月小売統計
15日 イスラエル4月CPI発表
15日 ロシア4月CPI発表
15日 ロシア第1四半期GDP成長率(速報値)発表
15日 カザフスタン1~3月経済活動別GDP(速報値)発表
15日 コロンビア第1四半期GDP発表
16日 アイスランド統一地方選挙
17日 イスラエル2026年第1四半期GDP推計(速報値)発表
18日 チリ第1四半期GDP・国際収支発表
18日‐5月19日 G7財務相・中央銀行総裁会議(フランス・パリ)
18日‐5月23日 世界保健機関(WHO)年次総会(ジュネーブ)
19日 カナダ4月CPI発表
20日 イスラエル4月国別財貿易統計発表
20日‐5月23日 APEC貿易担当大臣会合(中国・蘇州)
22日 CIS首相会議(トルクメニスタン)
24日 キプロス議会選挙
24日‐5月25日 イスラエル中銀金融委員会会合
25日 メキシコ4月貿易統計発表
25日 シンガポール4月CPI発表
26日  OECD2026年第1四半期G20貿易統計発表
26日 シンガポール4月工業生産高指数発表
26日‐5月27日 ニュー・テック展示会2026(テルアビブ)
27日 オーストラリア4月CPI発表
27日 ロシア1~4月鉱工業生産指数発表
28日 米国2026年第1四半期GDP(改定値)発表
28日 メキシコ4月雇用統計発表
28日‐5月29日 最高ユーラシア経済評議会(カザフスタン・アスタナ)
29日 ブラジル第1四半期GDP発表
29日 チリ2~4月雇用統計発表
29日‐5月31日 アジア安全保障会議(シンガポール)
31日 コロンビア総選挙(大統領、上院・下院議員)
5月中 国連(経済社会局)世界経済状況・予測発表

6月

1日 カザフスタン5月CPI発表
1日 エチオピア総選挙
2日 香港4月小売統計発表
2日 インドネシア5月CPI発表
2日 インドネシア4月貿易統計発表
3日 オーストラリア第1四半期GDP統計発表
3日 米地区連銀景況報告(ベージュブック)(FRB)
3日 ブラジル4月鉱工業生産指数発表
3日‐6月6日 サンクトペテルブルク国際経済フォーラム(ロシア・サンクトペテルブルク)
4日 オーストラリア4月貿易統計発表
5日 台湾5月CPI発表
5日 米国5月雇用統計
5日 カナダ5月雇用統計発表
7日 アルメニア議会選挙
8日 メキシコ5月自動車生産・販売・輸出統計発表
8日 チリ5月CPI・貿易統計発表
8日‐6月12日 IAEA定例理事会(ウィーン)
9日 メキシコ5月CPI発表
9日 米国4月貿易統計発表
9日 カナダ4月貿易統計発表
9日 台湾5月貿易統計発表
10日 ロシア5月CPI発表
10日 カンボジア5月貿易統計発表
10日 米国5月CPI発表
10日 カナダ中銀政策金利発表
10日‐6月13日 タシケント国際投資フォーラム(ウズベキスタン・タシケント)
11日 メキシコ4月鉱工業生産指数発表
12日 ブラジル5月IPCA発表
14日‐6月16日 G7首脳会議(フランス・エビアン)
15日 台湾5月貿易統計発表
15日 EU外相理事会(ルクセンブルク)
16日 香港3~5月雇用統計発表
16日 ブラジル4月月間小売り調査発表
16日 チリ金融政策決定会合
16日‐6月17日 ブラジル中央銀行、Copom
16日‐6月17日 米国FOMC、経済見通し発表
16日‐6月18日 ヘルスケア展示会・カンファレンス「Africa Health ExCon2026」(エジプト・カイロ)
17日 ロシア第1四半期経済活動別GDP発表
17日 米国5月小売統計
18日 ニュージーランド第1四半期GDP統計発表
18日‐6月21日 スリランカEXPO2026
19日 カナダ4月小売統計発表
19日 ロシア中央銀行理事会
19日 ジューンティーンス(奴隷解放記念日)で米国市場休場
22日 カナダ5月CPI発表
22日‐6月26日 サイバー・ウイーク2026(テルアビブ)
23日 香港5月CPI発表
23日 台湾5月雇用統計発表
24日 米国2026年第1四半期国際収支統計発表
24日 米国2026年第1四半期および対外資産負債残高統計の年次更新
24日 ロシア1~5月鉱工業生産指数発表
24日 台湾5月小売統計発表
25日 米国2026年第1四半期および対外資産負債残高統計の年次更新
25日 香港5月貿易統計発表
29日 カザフスタン第1四半期経済活動別GDP発表
6月上旬 ラオス5月CPI発表


宮家 邦彦  キヤノングローバル戦略研究所理事・特別顧問