ワーキングペーパー グローバルエコノミー 2026.07.24
本稿はワーキングペーパーです。
本稿は、経済発展に伴い住宅価格がどのように決定されるかを分析する。本稿では、供給側の要因に着目したHirano and Toda (2025, Journal of Political Economy)、Hirano and Toda (2025, Proceedings of the National Academy of Sciences)とは異なり、需要側の要因によって引き起こされる資産価格バブルの理論を提示する。三つの主要結果を導く。
まず、一つ目の主要結果は、経済発展が進むと、二段階の相転移を通じて、住宅バブルが必然的に生じることを示す。具体的には、住宅購入者の所得が低い経済発展の初期段階では、住宅価格はファンダメンタル価値に等しく、これが唯一の均衡となる。経済発展が進み、住宅購入者の所得がある閾値を超えると、第一段階の相転移が生じる。すなわち、中程度の経済発展の状況下では、ファンダメンタル均衡とバブル均衡が共存し、人々の期待によってどちらの状況になるのかが決まる。これは住宅バブル可能性領域と言える。さらに経済発展が進み、住宅購入者の所得が十分に高くなると、第二段階の相転移が生じる。ファンダメンタル均衡は存在しなくなり、住宅バブルが必然的に生じる。すなわち、経済は住宅バブル必然性領域に突入する。なお、経済発展が進むにつれて、経済は、ファンダメンタルズ領域から住宅バブル可能性領域へ、さらに住宅バブル必然性領域へと移行していくが、この過程において実質金利は趨勢的に低下していく。このことは、低金利下において、住宅バブルが発生することを示唆する。
次に、二つ目の主要結果は次である。二段階の相転移の性質を応用し、期待主導型の住宅バブル生成とその崩壊メカニズムを示す。すなわち、経済主体が将来の所得成長を予期すると、たとえ現在の所得水準が低く、経済があたかもファンダメンタルズ領域に留まっているように見えたとしても、今の時点で住宅価格はバブルを内包する形で急激に上昇し始め、価格ー家賃比率、価格ー所得比率は上昇していく。将来になって、所得成長が予想したほど成長しないことが分かると、その段階で住宅バブルは崩壊する。
最後に、土地の存在は動学的非効率な均衡を排除するという世代重複モデルの古典的結果を覆し、非効率な均衡が一般的に存在しえること、得に、それが中程度の経済発展において起こりえることを明らかにする。