ワーキングペーパー グローバルエコノミー 2026.07.15
本稿はワーキングペーパーです。
金融政策の運営において、中央銀行は資産価格変動を考慮すべきか否かという問題は、マクロ経済学における古典的な政策論点の一つである。
本稿では、名目上の金額を実質的な価値と取り違えてしまう「貨幣錯覚」を標準的なニューケインジアンモデルに導入し、資産価格を考慮した金融政策の効果を分析した。貨幣錯覚がない場合、既存研究と同様に資産価格に反応する金融政策は、均衡の非決定性の要因となり、マクロ経済の不安定性を招く恐れがある。これに対し、本稿では、貨幣錯覚によって現在のインフレ率を誤認し、賃金をうまく実質化できない場合、逆に資産価格変動に反応する金融政策が均衡の決定性に貢献し、マクロ経済の安定性に寄与しうることを示した。
これは中央銀行が資産価格を考慮すべきか否かという問題が、人々の貨幣錯覚という認知の問題と深く関係することを示唆する。
ワーキング・ペーパー(25-010E)Money Illusion and Asset-Price-Targeting Monetary Policy