コラム  国際交流  2026.01.29

EVのリアルとリフレーミング(その2)

:ユーザー・ペインポイントの方程式

米州 科学技術・イノベーション

2025年12月に欧州連合(EU)は2035年のガソリン車新車販売禁止目標を事実的に撤回した。同12月、フォードは大型ピックアップトラックのF-150のEV版、F-150 Lightningの生産を停止し、ハイブリッドなどに経営資源を集中させることにした。そこで案の定、多くのメディアは日本車のハイブリッド戦略の勝利を讃え、EVの失速と今後の低迷を記事にした。これは一時的なEV減速なのか、それともEVへの業界変革はずっと先か、あるいはEVシフト自体は幻想なのか?日本ではEVが極端に少ないので感覚が分かりにくい。

2025年のEV販売失速:「ユーザー離れ」の幻想と補助金打ち切りの駆け込み需要が示すこと

2025年の12月を含めたデータが出揃うのはまだちょっと先だが、アメリカ市場を見ると、2025年のEV売り上げ台数は2024年を少し下回りそうである。データが出揃ったら改めて紹介するが、アメリカでは2024年の新車売り上げのうち、EVが8.1%だったのが、2025年は8%を少し下回りそうである。日本はEV売り上げが2〜4%なのでEVは小規模市場と言えるが、8%という数字だけを見たら、アメリカでのEVもそれなりにニッチと言えるかもしれない。しかし、ディスラプションはニッチから生まれることも多い。

もう一つ興味深い事実がある。アメリカでは連邦政府の$7500の補助金が2025年10月1日に失効することを受け、9月末までにEVの売り上げが激増した。カリフォルニア州では2025年の7月から9月までの第3四半期で、新車販売のEV割合がなんと3割にも上った。アメリカで最も人口が多く、経済も大きな州(統計上の為替の扱いによってはGDPは日本を抜いた)で新車販売のほぼ3台に1台がEVだったのだ。しかもカリフォルニアは内陸部の広大な田舎の農業地や山脈と沿岸部の都市や郊外(シリコンバレー、サンフランシスコ、ロサンゼルス、サンディエゴなど)では生活の様式と所得層が大幅に異なるので、EVが売れている沿岸部ではゆうに3割を超えた。これはもうニッチ商品とは言えない。

でもここで面白い解釈を見かけることがある。「やはり補助金がないと売れない」というロジックを当てはめて「当面はEVの世界が来ない」と結論付ける解釈である。著者からすると、この考え方は危険である。なぜなら、消費者は「欲しくないものを強引に買わされている」訳ではない。むしろ「この価格帯なら絶対欲しいけど、もっと高くなるなら待とう」という購買原理で動いているからだ。つまり、EVの潜在需要が無いのではなく、価格帯の問題だからである。

そこで現行の自動車メーカーが揃って「現在の価格帯かそれ以下ではEVで利益が出せない」ということでEV販売を後回しにて、まずは利益が最も出せる既存のガソリン車やハイブリッド車を好むのは合理的だ。しかし、そこで現行メーカではなく、新規参入プレーヤーがEVを売っても利益が出せる場合はどうなるか。消費者は「EVを選ばない」のはEVの特性ではなく、あくまで価格帯の話だったら、消費者の許容範囲以内のEVが次々に現れたらそっちに流れるのではないだろうか?でもその価格帯では利益が出せない自動車メーカーはなぜそんなことをしてEVを出すのか?現行の自動車メーカーではないEVメーカーがEV販売で利益を出せるなら、新規プレーヤーが出すEVがあっという間に浸透してしまうだろう。これは過去の様々な産業ディスラプションの王道のパターンである。既存のプレーヤーは高利益の領域から低利益の領域にシフトするのは非常に難しいが、新規プレーヤーは低利益のところから攻め上がり、新しい技術パラダイムを追求していくことでどんどん利益率を上げてくる。でも本質的にはメーカーのコスト構造ではなく、ユーザーにどこまでメリットとデメリットのバランスを提供できるかにかかっている。

世界の自動車産業で見ると、低利益の領域から攻め上げてきたのがテスラとBYDである。2社ともすでにEV車販売から十分利益を出せている。地域別に見ると、アメリカではBYDのEVは100%の関税をかけられて、実質的には販売できない。テスラのアメリカでのEVのシェアは他のすべてのEVを足しても届かないほどで、一社のみで5割である。欧州ではイーロン・マスクがアメリカのトランプ政権誕生に大きな役割を果たし、ヨーロッパ諸国における政治的な極右の言動に反発してテスラには向かい風が吹いているが、これまでの売り上げの伸びは驚異的だった。

ユーザーは価格帯さえ許容範囲であればどんどん買う、という構図の重要な仮説も現実路線として立てるべきである。既存メーカーにそれができない状態で新興メーカーができてしまったら、ディスラプションが起こってしまう。

ディスラプションとフレーミング

著者は日本車の自動車産業を応援している。しかし、シリコンバレーから数多くのディスラプションを見てきた中で、自動車業界に対する危機意識は非常に高い。現在、世界がEVに急速に舵を切る姿勢から一旦より戻し、ハイブリッドや燃費の良いガソリン車の時代がすぐには終焉にならないことで少し時間が稼げたと思っているが、まだまだ危機意識は高い。後のコラムで説明するが、『イノベーターのジレンマ』に沿ったディスラプションが来るシナリオをまだ辿っているからである。

そこで改めてユーザーからみたEVについて、フレーミングの紹介を続ける。なぜなら、既存の業界の既存のプレーヤーが既存のフレーミングで新しいものを見ると、「パフォーマンスが低いところ」しか見えないことが往々にしてあるからである。例えばスマートフォンが現れた当初、著者は世界をリードしていた日本の携帯電話メーカーがアップルのiPhoneを見て「カメラの解像度はうちの方が上で、バッテリーも長持ちし、音声通信も音がきれいだ」ということで否定的な意見を聞いた。しかも、「若者が好きな着メロや着うたはiPhoneにはなく、電車の定期として使えるおサイフ携帯やワンセグ放送の機能もないので、スマートフォンはユーザーに受け入れられるはずがない」という主張も著者は直接聞いた。これらの主張は、自社製品がスペックで他社と争っていたフレーミングで新しいiPhoneを見たら、いかにそのスペックでiPhoneが劣るのか、ということしか見えていなかった。しかし、スマートフォンが日本に上陸したら、残念ながらそれまでの日本の数多くのメーカーが出していた携帯電話は淘汰されてしまった。購買者はそれらのスペックとは別のところに価値を感じていたのだ。そしてスマホは一時の話題性に留まらず、カメラやビデオカメラ、GPS端末、スキャナーなど様々な周辺業界もディスラプトしてしまった。

つまり、ユーザーから見たら、新しいものは、既存の製品とは異なるメリットを体験することがある。そして今のフレーミングしか知らない既存事業者は新しいフレーミングが見えないのでディスラプションの餌食になってしまう。スマートフォンに限らず、半導体産業でNvidiaが起こしたGPU革命、クラウドコンピューティング、そしてインターネットそのものなど、数多くの業界をひっくり返した力学である。

フレーミングとは:
人間が状況を理解するために使う思考ツール
1)    何が大事で何が大事ではないということを判断するフィルター
2)    因果関係のモデル

  • フレーミングの違いによって同じエビデンスやデータでも、真逆の解釈になることがある。
  • 「リフレーミング」とは、新しいフレーミングで物事を改めて考えること。


EVユーザー視点の方程式

今回紹介するフレーミングは、あくまでユーザーの立場から見た「EVユーザーの方程式」である。ユーザーと自動車メーカーとでは異なる要素があり、消費者の価値観の変化による業界ディスラプションを避けるためには最重要な視点だ。

こういった「ビジネスの方程式」はもともとアマゾンが様々な事業を急拡大する時に用いたフレーミングで、特定のビジネスは本質的にどういう方程式で成り立っているのかを考える上で非常に役立つ考え方である。(参考文献)そのフレーミングをEVユーザーに当てはめると、著者の視点ではこうなる。

ユーザーのペインの度合い=f(①、②、③)
①    快適に、安心して走行できる距離・時間
②    充電・給油のしやすさ
③    今までの自動車では解決できなかったペインポイントを解消



「ユーザーのペインの度合い」とは「どのくらい苦労し、心配し、気にかけることが多いのか」ということである。ユーザー・ペインポイントの視点は一見簡単な考え方だが、ユーザーとメーカーは異なる視点をもっていることがあるので、それを明確にするために役立つ。シリコンバレーではユーザーのペインポイントを徹底的に潰す考え方が浸透している。それは「ユーザー・ファースト」とも呼ばれる。

EVはもともとICE車(内燃機関の車)に比べて走行距離と価格のバランスに妥協があるところからスタートしている。そのため、「Xの価格帯なら走行距離はY」という関係性で考えるとEVではなくICE車の方が圧倒的にパフォーマンスが高い。

しかし、ユーザー視点に立つと、走行距離だけの話ではないことが分かる。例えば、水素で走る燃料電池車は走行距離がEVに比べて圧倒的に長い。しかし、シリコンバレーの場合、水素ステーションはほとんど存在しない。したがって、ユーザーから見ると走行距離が長くても、燃料が減ってきた時にどれくらい簡単に補充するところが見つけられ、それが近くで便利なところにあるのか、ということが最も重要である。つまり、走行距離だけの話ではないことが分かる。(ちなみに水素エンジンの技術を否定するつもりは全くない。あくまでユーザー視点に立った場合のペインの話である。)でももちろん、初期の頃のEVは走行距離が極端に短く、出先での充電設備もほとんどなかったためユーザーは走行中、常にバッテリー残量を気にしなければならなかった。特に土地勘のない地域では見つけにくい充電設備に頼らざるを得ない状況が、不安を一層高めていた。

まずは価格を一旦横に置き、こういったユーザー感覚はペインの方程式の

①快適に、安心して走行できる距離・時間と、②充電・給油のしやすさ、で捉えると非常に分かりやすく様々なユーザーの状況と環境の特徴を整理できる。

例えば毎日走行距離が長く、幹線道路沿いにガソリンスタンドがいくらでもあるような人は、ICE車の方が長く走れる上、給油の場所も多く、給油時間も短いのでICE車の方がペインは小さい。逆に、日常や週末中心の利用で頻繁な充電が不要であり、充電スポットがテスラのように分かりやすく車内大画面の地図とナビに組み込まれリアルタイムで状況を確認できる環境であれば、EVはほとんど不安なく使える。また、充電スポットが豊富にある地域に住んでいたり、家で充電してからその日の移動をこなせる人は、充電のしやすさという変数の数値が高い。したがって、これらの要素を合わせるとこのユーザーのEVのペインは非常に低い。(逆に、生活圏の近くにガソリンスタンドが無かったり、普通に車を使うルートの動線上にガソリンスタンドが無いICE車ユーザーにとっては、充電よりも給油のほうがペインかもしれない。しかも、充電器がスーパーやホームセンターの駐車場にあって買い物中に充電できる人と、大通り沿いで排気ガスが気になったり、夜間の治安に不安があるガソリンスタンドで給油せざるを得ない人を比べると、「充電・給油のしやすさ」の変数はEVユーザーの方が上になることもある。)

上記の①と②の変数に加え、方程式の変数③は、EVが「これまで実現できなかった他のペインポイントの解消や喜び、安心など」である。この項目でEVがICE車を上回る数値を出す領域では「ユーザーのペイン度合い」はICE車の方が高くなる。一番分かりやすいのは排気ガスと空調空間としてのEVの数値はICE車よりも高い。

そして①と②と③の合計でEVの値が既存のICE車よりも高いユーザーにとってEVに乗ることが総合的な妥協ではなく、むしろEVに乗った方が全体的なペインは少ない。ここで大事なのは、これは車の特性のみにかかっているわけではない、ということである。ユーザーの環境や住んでいる地域の充電環境、そして車の使い方も関係している。したがって、「ICE車vs EVのパフォーマンスの特性」の比較ではなく、ユーザーを中心に置いたもので、地域差と個人差があるのは当たり前である。したがってこの方程式は、どんなユーザーたちがEVを喜んで受け入れ、どんなユーザーにとってEVはまだ総合点でICE車に比べて足りないなのか、ということがわかる。

もう一つ分析のレイヤーを重ねると、ICE車との比較はどんなEVでも良いとは限らず、EVメーカーによって方程式の値は大きく異なるということである。たとえばICE車とテスラのEVを車単位で比較しても、テスラの充電網から得られる安心感と充電のしやすさは見えてこない。しかし、ユーザーには一目瞭然である。同時に、テスラの充電網が使えないEVとテスラの充電網が使えるEVを比較すると、遠出をする場合の安心感などがまるで違う。しかし、これはテスラと別のEVの走行距離だけを比較しても分からない。ただ、こちらもユーザーにはその違いは一目瞭然だ。だからこそユーザー中心の方程式というものが大事になってくる。

本コラムシリーズではこの方程式の変数をそれぞれ掘り下げていく。

まずは①と②を少しだけ掘り下げよう。

①    快適に、安心して走行できる距離

まず、①「快適に、安心して走行できる距離」とは、車で外出する際にどれほどバッテリー残量のことを考えなくてはいけないのか、ということに尽きる。この変数にはいくつかのコンポーネントがあり、主なものを並べあげるよう。

「快適に安心して走行できる距離」の主なコンポーネント
a)    どこにいてもバッテリー残量が確認できる
b)    ある程度残量があれば、特に気にせずに大抵のところには行ける
c)    運転中、基本的にバッテリー残量のことを考えなくても良い
d)    必要なら充電スポットを見つけて寄ることが簡単
e)    充電スポットの位置が一目で分かる
f)    充電スポットの空き状況が行き前から一目で分かる
g)    充電スポットの数が豊富にある
h)    充電スポットの周辺状況が分かる



これらの項目をいくつかピックアップして紹介するが、重要なポイントは快適に安心して走行できる距離はフル充電状態における走行距離だけの話ではないということである。幸い、テスラがすでにこれらの項目のベストプラクティスを実現してくれているので、これをなぞれば良いだけの話である。ただ、テスラは充電網を自前で作り、垂直統合しているので、それ以外の自動車メーカーと充電インフラを提供している企業はAPIを共通化するなどしてシームレスに連動させる必要があり、ここには政府の役割もあるかもしれない。

ユーザーとバッテリーの関係

まず、乗る前から、a)「どこにいてもバッテリー残量を確認できる」のは安心材料となるので、手元のスマホアプリで確認できるのは基本中の基本である。そして、バッテリーの容量が十分ある場合は、b)「相当な遠出以外の場合、特に気にする必要はない」という感覚が大事となる。

さらに、運転中に常に残量を気にするストレスがないというc)「運転中は基本的にバッテリー残量のことを考えなくても良い」という感覚も重要だ。これにはある程度以上なら、バッテリーの容量が単に大きければその分だけ比較優位になるという話ではない。もちろん、ある程度以上の容量がないと不便だが、ユーザー側の視点からは、メーカー側で陥りやすいかもしれない細かいスペック争いが売り上げに直接影響するとは限らない。例えば「A社の300マイルに対して我が社は340マイルの走行距離を実現したので我が社の方が売れるはずだ」という発想はユーザーから見た競争の力学を捉えていない。それはユーザーから見たらさほど変わらないからであり、その車が充電しづらい他のいくつもの要因があったら元も子もない。「300マイルではなく600マイルを実現した次世代バッテリーの可能性に賭ける」という大幅な性能向上は良いが、②の項目の「充電のしやすさ」と掛け合わせないとユーザーにとって不安を取り除くわけではない。例えば走行距離が長くても、残量が少ない状態で充電しようとすると独自規格で充電器が見つけられなかったり、充電が非常に遅かったりしたらユーザーから見た全体のペインは解消されない。

充電スポットとの関係

「快適に安心して走れる距離」はバッテリーだけではなく、「道中で気軽に充電できるか」ということにもかかっている。出発前に充電スポットの所在を検索してルートをナビと照らし合わせて計画するのは手間がかかるし、間違えたらガス欠ならぬ「電欠」の恐怖がある。でもテスラは10年以上前からナビに目的地を設定したら、d)目的地到着までに充電が必要だったらナビにそのまま表示されるうえ、チャージャー到着時のバッテリー残量予想も見せてくれる。

同時に、基本的にどこを走っていても、e)近くの充電スポットの位置が地図上に表され見つけやすく、f)しかもそれぞれの充電スポットの空き状況がリアルタイムで見えるのは大事だ。「充電スポットに辿り着いても満車で、空きが出るまで待つかもしれない」というユーザーの不安も取り除いている。そして充電スポットに立ち寄る前から各充電スポットの充電速度も分かると、どの位時間が必要なのかも分かるので気が楽になる。例えば、スーパーの隣だったら買い物にどれくらい時間をかけたらちょうど良いのか、など。
さらにh)充電スポットの周辺に何があるのかを知ることができると場所選びに役立つ。充電スポットがガソリンスタンドに併設されているところは、その周りに行きたいところがないと、ガソリンスタンドでウロウロするだけで全く楽しくない。しかし、隣に大型量販店やレストランがいくつもあったら話は全く違う。テスラはそういうところも一目で見せてくれるので、これはベストプラクティスとして他社も広めるべきである。

バッテリー残量を気にしなくても良いと、様々な運転中の妥協を取り除くことができる。テスラ以前のEVはバッテリー容量があまりにも小さかったため、ドライバーはできるだけバッテリーを長持ちさせるために高速道路での速度を極力抑え、残量が少なくなってくると冷房や暖房を切るのが当たり前だった。バッテリー残量が低すぎて徐行運転しかできず、もちろん空調は止まり、計器ディスプレイまでもが消える体験をした人はその恐怖から、平常時でも極力空調を止めたりする習慣を身につける人が多かった。これは「快適に安心して走行できる距離」という変数では極めて低い。

テスラはバッテリーが非常に長持ちするので基本的にはこのような節電を意識した走りをする必要がない。(バッテリー残量が20%を切るとバッテリー表示がオレンジになるが、これは走行距離が70マイル以上残っている状態で、初期の日産リーフのフル充電状態と同じくらいの走行距離である。)

テスラの場合、走行中の不安もなければ、事前準備(バッテリーがフルに充電しているかの確認、事前の入念なルート計画)も基本的にいらない。

遠出の場合、行き先にたどり着くために寄るべきスーパーチャージャーがナビ表示に含まれる。これにしたがっていけば必ず辿り着けるという安心感がある。

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しかも、いつの間にかルートの最適化オプションが加わり、最も早く着く「Fastest」か「Best Amenities & Fewer Stops」(ベストなアメニティーと少ない数の停車)を選択できるようになった。(著者のオフィスからロサンゼルス空港までの道のりの場合、速度重視の充電スポットは何十台もスーパーチャージャーが並ぶエリアで、アメニティー重視の充電スポットは有名なステーキ屋さんがあるスポットである。)

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周辺のスーパーチャージャーの位置と、リアルタイムの空き状況(台数)が表示される。行き先へ到着時のバッテリー予想残量が表示され、スーパーチャージャーに寄る必要がなくても、一目でチャージャーがどこにあるかが見えて安心する。(下記の画面には表示されていないが、ナビに沿った運転を始めると、往復した場合のバッテリー予想残量も表示される。

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もう冗談の領域に入ってしまうが、シリコンバレー界隈でどれくらいのテスラのスーパーチャージャーがあるのかというと、「こんなにたくさんあってズームインしないとよく分からない」という領域に達している。

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では長旅はどうだろうか。ロサンゼルスでは気が済まず、勢い余ってフロリダ州のマイアミまでアメリカ横断の長旅をしてしまおうか、ということでナビの行き先をマイアミと入れるとどうなるか。(ちなみに、音声入力で「Navigate to Miami」と言えば十分。問題なく行けることが分かる。心配事は電欠になるかどうかではなく、むしろ運転手の体力である。

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さらにアメリカの最東部、メイン州のカナダとの国境沿いの街を指定するとこうなる。これに従えば絶対辿り着けるという安心感がある。

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ここまで紹介した充電スポットは全てテスラのスーパーチャージャーであり、車の大画面上に表示されるナビで入力すると現れるスポットである。テスラが垂直統合で全てのチャージャーからリアルタイムデータを集めているからユーザーにとって非常にストレスフリーである。個別の充電スポット提供社のアプリを立ち上げ、それぞれを最適化させながらルートを構築していく、という作業などは一切ない。

2026年のEVはテスラのスーパージャージャーにそのまま対応車種が続々、ゲームチェンジャーという仮説

では、テスラしか受けられない恩恵は他のEVに適応しないなら、このユーザーから見た利便性は「EV」の特性ではなく「テスラが提供するEV」の特性になるわけである。したがって、テスラ以外のEVにテスラほどの利便性があるかと言ったら最近までは全くそうではなかった。したがって、アメリカのEV売り上げの半数以上がテスラだったわけである。
しかし、今年から売り出されるEVは充電プラグの形式がテスラのものになり、テスラの充電ネットワークが使える。これによってユーザーのEV方程式はテスラ以外のEVでも大きく変わる。

そしてフレーミングとして、EVは自動車単体ではなく、ユーザーから見た場合、「自動車+充電ネットワーク」のセットでもあることを認識することが重要である。

つづく。