親愛なる読者の皆さま、寒中お見舞い申し上げる。
さて、昨年筆者は「2025年に起きないこと」として、(1)イスラエルのネタニヤフ首相は譲歩しない(2)プーチン露大統領は諦めない(3)米大統領のトランプ氏も諦めない(4)中国の習近平国家主席は台湾侵攻しない(5)北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記も暴発しない(6)温暖化議論は進まない(7)中道勢力は復活しない(8)自民党は下野できない-と書いた。以下はその26年版だ。
(1)「G2」時代は来ない
ちまたで流行の「G2」論には懐疑的だ。新年早々の米国によるベネズエラ大統領拘束事件を筆者は「グレートゲーム・パート3」の始まりと呼ぶ。「グレートゲーム」とは19世紀以降の英露両帝国間の覇権争いを指す。1945年以降は米国が英国に代わり、旧ソ連およびロシアと「冷戦」と呼ばれる「グレートゲーム・パート2」を戦った。現在は「G2」どころか、衰えの見え始めたロシアに代わり中国が米国と覇権を争う「グレートゲーム・パート3」が始まったと見る。
(2)中道勢力は復活しない
トランプ政権は「自由で開かれたルールに基づく国際秩序」などに関心がない。昨年「トランプ再選は民族第一主義やポピュリズムの再台頭開始の前兆で、中道勢力の復権は困難」と書いたが、恐らく今年も同様で、日本の「中道主義」も例外ではなかろう。
(3)自民党は下野できない
昨年は「選挙結果にかかわらず自民党は下野できない」と書いた。高市早苗首相の早期解散断行で、仮に自民党が一時的に政権を維持しても、日本政治の「小政党乱立」傾向は止まらない。万一日本内政の不安定化が続けば、日本の国際的地位は一層低下する。
(4)プーチンは諦めない
昨年は「ウクライナ戦争の早期解決は難しく、2025年もウクライナにとって厳しい年が続く」と書いた。恐らく今年もプーチン氏はトランプ氏の仲介に応じないだろう。
(5)トランプは躊躇しない
昨年は「トランプ氏は国内の政敵に対する復讐に明け暮れる」と書いたが、第2期トランプ外交は決して「孤立主義」ではなかった。それどころか、「グレートゲーム・パート3」の長期化に備え、裏庭である西半球を固め、必要とあれば海外での「力の行使」も躊躇しないように見える。
(6)習近平は台湾侵攻せず
昨年は「軍高官異例人事が続き、不動産バブルははじけ、経済が低迷し、若年失業率も高止まりで、各地で無差別殺傷事件が頻発する中国に『台湾侵攻』はない」と書いた。中国では一部ハイテク産業躍進とデフレ、失業などによる経済社会停滞が混在する状態が続く。恐らく今年も「台湾解放」どころではないだろう。
(7)金正恩も暴発しない
昨年は北朝鮮兵士がウクライナ戦争に派兵されるなど露朝関係が進展し、北朝鮮軍の実戦経験も話題になった。だが、あの程度の「参戦」で北朝鮮軍が近代化されるとは到底思えない。昨年は北朝鮮の「核開発の目的は戦争ではなく金体制の存続」であり、「軍事侵攻などできない」と書いた。仮にトランプ政権が米朝関係改善を再びもくろんでも、金正恩氏が「核開発」を断念することはないだろう。
(8)イランは譲歩しない
昨年は「ネタニヤフ氏は譲歩しないものの、追い詰められたイランが核武装を急げば、イスラエルは核施設を攻撃する」と書いたが、実際に核施設を攻撃したのは米軍だった。新年早々イランでは再び反政府抗議デモが吹き荒れているが、米国やイスラエルが威嚇、攻撃しても、イランは決して譲歩しないだろう。今年も日本が原油の9割を依存する湾岸地域の安定を祈るしかない。