その他  グローバルエコノミー  2023.12.08

【山下 in 東大】第5回「国際通商秩序と日本の通商政策」講義資料_2023

農業・ゲノム 通商政策

山下研究主幹は、東京大学公共政策大学院の「国際通商秩序と日本の通商政策」の第5回※の講義で、ガット・ウルグァイ・ラウンドやTPPなどの通商交渉で最も問題となってきた農業に関し、なぜ農業問題が難しいのか、またそれを解決する方法について、概要次のとおり説明しました。

①農業に限らず、対外交渉は国内問題の裏返しであり、それに規定される、

②多くの国民は農業から離れて久しく現状を知らないため、農家は貧しいなど農業村のウソを信じてしまう、

③農業村の主張と異なり、穀物価格が高騰して日本が買い負けることはないし、アメリカやオーストラリアなどが輸出制限することもない、インド等の途上国は輸出制限するが止めろとは言えない、輸出制限を規律したWTO農業協定第12条は機能しない規定である、

④農産物でも自動車と同様産業内(intra-industry) 貿易が行われている、

⑤米の減反を廃止すれば食料自給率は38%から70%に引き上げられるし、米の輸出は世界の食料安全保障に貢献する、輸入が途絶するときは輸出していた米を食べれば日本の食料安全保障は確保できる、

⑥ガット・ウルグァイ・ラウンド交渉合意の内容とこれによって成立したWTO農業協定の概要を、関税等の国境措置、国内補助金、輸出補助金の別に説明する、

⑦日本は減反補助金の一つとして、WTOでは禁止されている輸出補助金を米に交付している、

⑧通商交渉で農産物の高い関税を引き下げることができないのは、日本の農業政策が、欧米のように直接支払いで農家を保護するのではなく高い価格で農業を保護するという特徴を持つからである。これによって利益を受けるJA農協が減反による高米価政策等を推進してきた。

⑨減反を廃止して米価を下げ、主業農家に限って直接支払いすれば、構造改革は進み、元兼業農家の地主を含め農村全体の所得が向上する。

資料は添付のとおりです。

※第4回は他の講師が担当

全文を読む

【山下 in 東大】第5回「国際通商秩序と日本の通商政策」講義資料_2023