ワーキングペーパー  グローバルエコノミー  2023.08.25

ワーキング・ペーパー(23-015E)Leverage, Endogenous Unbalanced Growth, and Asset Price Bubbles

本稿はワーキングペーパーです。

経済理論

Lucas(1978)以降、資産価格のマクロファイナンス理論は飛躍的に発展した。伝統的なマクロ経済理論では、資産価格バブルは起こらない、たとえ起こる場合であっても特殊な状況下でしか起こらないという見方が支配的である。こういった伝統的な見方に対して、この論文では地価バブルを伴う新しいマクロファイナンス理論を提示した。

まず、定常性を伴うBalanced growth(均斉成長)と非定常性を伴うUnbalanced growth(不均斉成長)では、資産価格含意が決定的に異なることを明らかにし、資産価格バブルの本質は非定常性にあることを証明した。

次に、レバレッジが十分に低い場合には、マクロ経済は長期的にBalanced growthとなり、地価レント、地価、経済全体の資本は同じ率で成長し、地価はファンダメンタルズ価値と等しくなる。他方でレバレッジが十分に高くなり、ある閾値を超えるとBalanced growthからUnbalanced growthへの相転移が生じ、この相転移に伴って地価は地価レントよりも早いスピードで上昇し始める。その結果、地価バブルが必然的に生じる。

技術革新によってもUnbalanced growthへの相転移が生み出される。これらの結果は、マクロ理論構築に重要な含意を持つ。すなわち、定常性を伴うBalanced growthのみが長期均衡になるようにモデル構築する限り(既存の代表的なマクロファイナンス理論はそのように構築されている)、モデル構築からして、資産価格は常にファンダメンタルズ価値に等しくなり、資産価格バブルは起こり得ない。他方で、Unbalanced growthも起こるようにモデル構築すると、レバレッジや生産性が十分に高くなると、資産価格バブルは自然かつ必然的に生じる。

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ワーキング・ペーパー(23-015E)Leverage, Endogenous Unbalanced Growth, and Asset Price Bubbles