ワーキングペーパー グローバルエコノミー 2023.05.15
本稿はワーキングペーパーです
家計の限界消費性向(MPC)は異質であり、家計の持つ流動性に依存することが知られているが、その流動性の大きさは一時的な状況や持続的な特性の双方に影響される。本研究では、銀行口座の取引データとその口座保有者へのアンケートを用いて、MPCの異質性の背景を峻別することを目的としている。分析の結果、リスク回避度や時間割引率が高い個人はMPCが高い傾向にあると同時に、少ない資産や流動性制約もMPCの高さと関連することがわかった。これらの結果は、MPCの異質性が一時的な要因と永続的な要因の双方から影響を受けていることを示唆している。
ディスクレーマー
分析で用いるデータは、みずほ銀行と早稲田大学との委託契約によって提供され、個人が特定されないようにマスキングなどの匿名加工などの措置が取られた環境で分析された。またアンケートは、早稲田大学の人を対象とする研究に関する倫理審査委員会の承認を得ている(2022-312)。本稿で述べられる見解や意見は、あくまでも著者のものであり、みずほ銀行のものを反映するものではない。