新型コロナウイルス感染者の治療に対しては、受け入れ病床の確保と共に医療資源である医療従事者や病床の有効利用が望まれる。本研究ではオミクロン株の感染時期におけるコロナ患者に関して、重症度に応じた入院および病床の利用状況を分析し、入院基準や病床利用の改善余地を検討した。
「オミクロン株は原則入院」との事務連絡解除後の患者を対象とし、2022年1月15日以降に入院し同年2月末までに退院したコロナ患者13,701症例(358施設)について分析をおこなった。分析視点は下記2点。
2022年1月15日以降入院で2月までの退院患者のうち、軽症者は47%。うち5割が64歳以下であった。軽症の入院患者のうち「基礎疾患がない64歳以下」の割合は32%で、これらは宿泊or自宅療養が可能だった可能性がある。ただし第1~5波までと比べ、この割合は低下している。
コロナ軽症患者の17%がユニットを利用し(ユニットのみの利用患者は13%)、コロナ患者のユニット利用のべ日数の3割を軽症者が占めた。この状況は第1~5波までと比べると低減している。一方、重症患者がユニットを利用せず一般病床で治療を受けていた症例は重症患者の21%にのぼり高い水準にあり過去と比べ増加していた。
「入院基準」の明確化が一定程度進んでいると考えられるがコロナ病床の有効利用のためには入院基準の明確化と遵守の更なる徹底が求められる。軽症者のユニット使用は改善が見られる一方、重症者がユニットで治療を受けられない状況があり、重症度に応じた「病床利用基準」の明確化と、医療機関同士の連携はいっそうの強化が求められる。