ワーキングペーパー グローバルエコノミー 2021.09.27
本稿はワーキングペーパーです
旧タイトル:Bubbles, Crashes, Ups and Downs in Economic Growth Theory and Evidenceを改訂
1980年以前までの経済危機の大きな原因の一つはインフレ率の乱高下であった。ところが、1980年以降、先進国を含む多くの国でインフレ率は低位安定化した。その一方で、株価・地価などの資産価格が大きく乱高下するようになった。いわゆる資産バブルの生成とその崩壊である。
日本や北欧諸国における1980年代後半から1990年代初頭にかけての株価・地価の乱高下、90年代後半におきたIT関連株の価格高騰とその後の暴落、2000年代初頭から後半にかけて生じた欧米における住宅価格の乱高下はその代表である。歴史的にみると、このような資産価格バブルの発生と崩壊は一回限りではなく、何度も繰り返し起こり崩壊した。
本稿では、資産価格バブルが何度も発生し、しばらく続き、その後、崩壊するマクロ理論を構築した上で、次を分析した。理論面では、繰り返し起こるバブルが長期的な経済成長率、および経済厚生に与える分析をした。特に、頻繁に起こる資産バブルは経済成長の観点からも、厚生の観点からも、望ましくないことを示した。実証面では、米国経済を対象に、資産価格バブル時期の識別を試みた。その上で、米国経済が、仮に資産価格バブルを経験しなかった場合には、より高い経済成長率、経済厚生を達成しえたことを示した。
ワーキング・ペーパー(21-006E)Bubbles, Crashes, and Economic Growth: Theory and Evidence