レポート  グローバルエコノミー  2021.03.22

【政策提言】林業政策の改革(その2)

林業

要旨

木材は、林地にある立木が伐採されて丸太となり、それが製材工場等で製品に加工され、住宅メーカーなどの最終需要者に供給される。この数年『森林・林業白書』は、森林所有者の収入となる立木価格が大きく低下し、再造林のための費用を賄えないような水準となっていると、警鐘を鳴らしている。実際には7割ほどの高率の造林補助金が交付されるので、立木価格は補助金を考慮した再造林費用を上回る。また、森林法によって、市町村長は再造林を命ずることができることとされ、これは罰金刑によって担保されている。しかしながら、このような経済的な支援と規制がありながら、伐採後7割の林地が再造林されていない。

『森林・林業白書』は、丸太価格から伐採・搬出コスト等を引いたものが立木価格であるとし、伐採・搬出コストを低下させることによって、立木価格を上昇できるとしている。しかし、補助政策によって高性能機械の導入が拡大し生産性が向上していると主張しているにもかかわらず、丸太価格と立木価格の価格差は縮小するどころか拡大している。『森林・林業白書』の記述は論理的な整合性に欠けている。

林野庁は山元への利益還元という主張を行ってきたが、現実には山元の森林所有者が再造林を行うことは、ますます困難となっている。他方で、製品の価格は、高い水準で安定的に推移している。丸太価格や立木価格が低下しているのに、製品価格は低下しない。

本稿は、製品価格が安定しているのに、丸太価格は低下し、立木価格はそれ以上に低下しているメカニズムを、経済学の基本的なツールによって分析する。そのうえで、立木価格の上昇を狙いとして伐採・搬出コストを低下させるために実施している高性能機械導入の補助政策が、なぜ立木価格上昇に効果を発揮できないのかを経済学を使いながら説明する。

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