コラム  グローバルエコノミー  2020.07.15

コロナ禍における現金給付政策の有効性

税・社会保障 新型コロナウイルス

要旨:

 新型コロナウイルス感染症パンデミックは世界中の経済活動に前例のない規模の打撃(コロナ禍)をもたらしている。本稿では、コロナ禍に対して、現金給付が有効な政策ツールとなり得ることを示す。現金給付政策は、パンデミックによって引き起こされる消費格差の拡大を抑制し、公衆衛生政策に伴って大きな経済的損害を受ける可能性が大きい人々に同政策を遵守するインセンティブを与える。


ポイント:

1. パンデミックに対する公的政策の重要な二つの目的は、人との接触の多い経済活動を制限することと、それによって引き起こされる消費格差の拡大を抑制することである。

2. 現金給付はコロナ禍においてこの二つの目的に資する。現金給付は、貯蓄の少ない個人が労働供給を減らして自宅待機することを奨励し、同時に消費格差の拡大を抑制する。


JEL 分類: E21, E62, H84
キーワード: 新型コロナウイルス感染症、現金給付、刺激策給付、格差


筆者紹介:

R. アントン・ブラウンは、アトランタ連邦準備銀行リサーチ部門マクロ経済学及び金融政策チームのリサーチエコノミスト兼シニアアドバイザーを務める。主な研究分野はマクロ経済学と金融政策。

池田大輔は日本銀行金融研究所経済ファイナンス研究課企画役を務める。主な研究分野はマクロ経済学、金融政策及びマクロプルーデンス政策。


謝辞:

 本稿執筆にあたり、林文夫、井上広隆、ジョン・ロバートソン、関根敏隆(敬称略)より貴重なコメントを頂いた。記して感謝の意を表したい。本稿での見解はあくまで筆者たち個人のものであり、日本銀行、アトランタ連邦準備銀行、連邦準備制度の公式見解を示すものではない。本稿のあり得べき誤りは、全て筆者たち個人に属する。


筆者たちへのコメントがございましたら、以下のメールアドレスまでお寄せください。
r.anton.braun@atl.frb.org


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