新型コロナウイルスの感染拡大を受け、政府は2020年度第2次補正予算を閣議決定した。今回の補正予算(一般会計)は約31.9兆円、事業規模は約117兆円である。国の一般会計における当初予算は約102.6兆円であったが、約25.5兆円の第1次補正予算と合わせ、歳出合計は約60兆円増の約160兆円となった。
これに対応する歳入は、税収等が約70兆円、公債金収入が約90兆円の合計160兆円だ。歳出のうち国債費が24兆円であるから、国の一般会計において、基礎的財政収支の赤字幅は約66兆円、財政赤字は約76兆円に拡大した。20年1~3月期1次速報値では、20年度の名目GDPの予測値は約552兆円で、税収減も確実であり、20年度の財政赤字(対GDP)は13.7%超になる可能性が高い。
この結果、国債発行計画における市中消化分は、第2次補正予算後、128兆円(当初予算)から212兆円に、約90兆円も急増した。このような状況でも、国債発行の市中消化が可能なのは、第1次補正予算編成のとき、日銀が国債の買い入れをする「年間約80兆円」の保有残高増のめどを撤廃したからだが、この危機時の対応が永久に継続できるわけではない。
もっとも、いまは危機的な企業の資金繰りや家計支援のため、迅速かつ大規模な対策が必要なのは明らかだ。危機時での保険的な機能も持ち、民間では負担できないコストをならすことができるのは政府しかいない。
だが、この問題が終息した段階で、将来世代に負担を先送りしないよう、できる限り早く、国債発行で賄った財源を長期間かつ税率の低い追加課税で償還する手段も同時に考えるべきだが、今回の対策で、そのような検討が皆無なのはなぜか。消費税1%増なら約25年の返済になるが、税制改正も同時に行い、所得の高低などに応じて追加課税を講じれば、所得再分配的な効果も期待できる。
財源確保を急ぐ必要はないが、新型コロナウイルスの感染拡大が終息した後の債務処理の方法についても議論を深め、必要な準備を進めておかなければならない。