政策提言  グローバルエコノミー  2020.06.18

【政策提言】積極的感染防止戦略による経済社会活動の正常化を

<ポイント>


◇ 緊急事態宣言解除後も、危機は去ったわけではない。一時の安堵感から対策強化の手を緩めれば、自粛や休業を繰り返すことになる。それを避けるには、医療提供体制の機動的増強と、検査+接触者調査+治療・療養のための体制の大幅増強による「積極的感染防止戦略」に転換すべきである。これによって、今もっとも必要な「安心感」が生まれる。


◇ 自粛や休業を繰り返す「受け身」の対応を続けて、経済社会活動の萎縮が続けば、失業や自殺者も増え、人々の不満が爆発する事態も懸念される。「積極戦略」にはコストがかかるが、「受け身」の対応のコストはさらに大きい。中長期的には「積極戦略」の方が経済社会の正常化も早まる。


◇ 刻々得られる科学的知見を活かして、感染症のリスクを広く国民に正確に説明するとともに、リスクに応じた重点的な取り組みを進化させるべきである。有症者と幅広い接触者、医療・介護・障害福祉施設、海外からの入国者等について優先的に検査を実施すべきである。


◇ インフルエンザのピーク時には1日10万~30万人の患者が発生することにもかんがみ、第二波に備え、9月末までに1日10万件、11月末までに1日20万件の検査と必要な診察ができるよう検査・医療体制を予め整備すべきである。「鎖国」回避のためにも検査体制の増強は不可欠である。


◇ このような時間軸(いつまでに何をするか)、数量目標(施設整備・設備増強・人材育成の目安となる数値)、ロジスティックス(非医療界を含む国内外から人材と資源を調達する仕組み)を明記した検査と医療の増強計画を公表し、実行状況を示していくことで、第二波への備えを確立し、人々の不安を軽減するべきである。


◇ こうした透明性は国民・企業の協力と安心を得る上で大切な前提である。協力と安心があればこそ、人々の行動は活発になり、経済社会は正常化に近づくのである。


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