コラム  グローバルエコノミー  2020.04.14

人流ビッグデータによるCOVID-19の拡散制御 - 自粛による封じ込め -

注:本論文は学術誌への投稿前であり、学術コミュニティによる査読を受けておらず、内容についてのコンセンサスはとれておりません。また、一般読者を意識して書いており、一部で学術的な厳密性が担保されておりません。これらにご留意のもと、ご活用ください。



要旨

 物理的な都市封鎖(ロックダウン)をせずに、国民に対する自粛要請に「長距離通勤者を積極的にテレワーク」を追加することにより、首都圏を相互に物理的な移動が生じない複数地域に分割することができることを、2008年の東京都市圏(東京、神奈川、埼玉、千葉、茨城)57.6万人の人の流れデータをもとに示す。出勤を会社から2.5km範囲内の社員に限定することで、人の流れを平時の2割に減少させ、また、首都圏を相互に物理的な移動が生じない186地域に分割することができる。人の流入出のない複数の地域を作ることで、ウイルスの封じ込めや拡散制御が容易になり、経済をまわす安全地帯の構築が期待できる。



1. はじめに

 2020年4月8日、緊急事態宣言が発令され首都圏では流動人口を平時の8割減にすることが求められた。これは、

  基本再生産数(R0)=平均接触距離(D)×接触頻度(C)×接触により感染する確率(P)

のうち、接触頻度(C)を下げる政策である。しかし、これだけでは、人々の移動によりウイルスを広範囲に拡散させてしまうリスクが残っている。ウイルスを他の地域には出さず狭い特定の地域に封じ込める政策を、物理的な地域封鎖(ロックダウン)をせずに自粛のみで実現する仕掛けが必要である。コロナを狭い特定の地域に封じ込めれば、他の地域の接触頻度(C)をゼロにし、その狭い特定の地域のみで社会活動を抑制することにより感染確率(P)を下げることができる。

 本稿では、「自宅までの距離の遠い社員を積極的にテレワーク」にすることにより、首都圏の人流ネットワークを地域ごとに分断し、ウイルスの封じ込めや安全地域を作ることが可能であることを示す。

 具体的には、ある平日における東京都市圏57.6万人の出発地と目的地を記録したデータから、地域間の人流(移動)ネットワークを構築する。遠方者を優先して出勤を自粛させることにより、人流ネットワークを相互に物理的な移動が生じない複数の非連結地域に分離できることを示す。出勤者を平均2.5km範囲内の社員にすることにより、平時の2割の人の流れを達成し、さらに、首都圏を、相互に物理的な移動が生じない186地域に分断させることができる。

 本稿の以降の節では、第2節で本研究で利用する東京都市圏の人々の移動を記録した人流ビッグデータについて説明する。第3節では、人流ビッグデータから人流ネットワークを作成する手法について示す。第4節では、人流ネットワークを用いてウイルスの拡散を予測できることを示した先行研究を紹介する。第5節では、政府の自粛要請により延べ移動人数8割減が達成された世界での人流ネットワークを可視化し、これでも多くの他の地域へのウイルス拡散経路が存在することを示す。第6節では、物理的な都市封鎖(ロックダウン)をせずに、テレワーク要請に「自宅が遠い社員を優先する」というルールを追加するのみで、ウイルスを特定の地域に閉じ込めることが可能であることを示す。第7節では、出勤を会社から2.5km範囲内の社員に限定することで、延べ移動人数8割減と、ウイルスの封じ込めや安全地域の作成の両方が成立することを示す。第8節はまとめである。



2. 人流ビッグデータ

 東京大学空間情報科学研究センターが提供する東京都市圏(東京、神奈川、埼玉、千葉、茨城)57.6万人の人の流れデータ[1]を利用する。このデータは、平成20年10月から11月に実施された第5回東京都市圏パーソントリップ調査(交通実態調査)[2]をもとに作られている。本データでは、東京都市圏が601地域に区分けされており、それらの地域間の約7900万の延べ移動人数が、交通手段別(鉄道、バス、自動車、二輪車、徒歩)と理由別(出勤、登校、自由、業務、帰宅)で収録されている。地域の中心の緯度経度座標は、東京大学空間情報科学研究センターのCSVアドレスマッチングサービス[3]を用いて付与した。



3. 601地域をノードとした人流ネットワーク

 図1は、601地域について、それぞれ中心座標を示したものである。このデータにおける601地域の選定は人口密度に依存している。これら601地域について、地域間の移動(601地域×601地域)の移動を、地域をノード、移動を地域間を直線で結ぶ方向ありリンクとしたネットワークで可視化する。移動人数はリンクの色の濃さで表す。250人から25,000人までを対数軸で10等分に分け、赤色を濃くする。250人以下はリンクを白で着色する。また、リンクには方向があり、出発地から目的地に向かって引く。

 図2は、東京首都圏における平時の人流ネットワーク(約7900万の延べ移動人数)を表す。人々が都心を中心にあらゆる地域に移動していることが分かる。ある地点で元気に移動するコロナウイルスの感染者がでた場合、この人流ネットワークを通じて、感染が東京首都圏全体に広がっていくことが理解できる。


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図1 東京都市圏の601地域。赤色は各地域の中心座標、灰色は行政区画を表す。この図では離島での赤点は表示していない。


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図2 東京首都圏における平時の人流ネットワーク(約7900万の延べ移動人数)



4. 人流ネットワークによるウイルス拡散についての先行研究

 人流ネットワークによるウイルス拡散の先行研究について紹介しておく。ウイルスは人流ネットワークを通じて、他の地域に拡散するため、人流ネットワーク上での距離が、初期に感染者が出た地域から遠い地域ほど、感染者が発生するまでに時間がかかる。2020年2月13日に初の都内在住のコロナウイルス感染者が発表された。一方で、鳥取県在住の初感染者の発表は4月10日である。東京都から鳥取県に行く主な経路は、羽田空港からの空路のみといってもよく、約2ヶ月間の遅れは、東京都からのネットワーク経路が殆どない事実と整合する。つまり、経路をなくせば、拡散を止め、ウイルスを封じ込めることができる。

 図3は、各国の、2009年のH1N1インフルエンザ発生国であるメキシコからの人流ネットワークでの距離Dと、H1N1感染者メキシコで初めて感染者が出た日から、対象国で感染者が出るまでにかかった日数Iとの関係を表している [4]。イタリアにおけるH1N1の拡散は人流ネットワーク(航空網や電車網や車の移動、地域の移動)を使ってエージェントベースモデルで予測できる [5]。人流ネットワークを使って社会的な距離を取る戦略の効果が検証されている [6]。人流ネットワークを使って中国からの経路長が短いアフリカの感染リスクを指摘している [7]。武漢からの人流ネットワークで、中国の各都市へのコロナウイルスの流入が予測できる [8]。


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図3 人流ネットワークにおけるメキシコからの距離Dと、メキシコで発生したH1N1インフルエンザが伝わるまでの日数Iとの関係 [4]。



5. 自粛要請による人流ネットワークの変化

 自粛により想定される人流ネットワークの変化を示す。2020年4月8日、緊急事態宣言が発令され首都圏では、休校と不要不急の外出の自粛、テレワークの導入により、人の流れを平時の2割にすることが要請された。これを再現するために、表1のように、平時の約7900万の延べ移動人数から、まずは登校理由の移動及び自由理由による徒歩以外の移動を削除する。これにより人流は、仕事(出勤及び業務)理由の移動及び登校を除く徒歩移動のみとなる。なお、帰宅(復路)の移動理由はデータに収録されていないため、往路の移動理由(出勤、登校、自由)の比率を用いて算出する。ここからさらに、不要不急の外出自粛を反映させるために自由理由による徒歩移動を半分にし、テレワークの導入を反映させるために仕事(出勤及び業務)理由の移動を減少させる。


表1 想定する自粛。出勤・登校・自由・業務・帰宅は移動理由。鉄道・バス・自動車・バイク・徒歩は移動手段。✕は完全自粛、▲は50%自粛、△はすべての延べ移動人数の合計が平時の2割を満たすまで許可される。

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 テレワークの要請は、全従業に対してなされ、すべてのリンク(移動経路)で等しい割合で、仕事(出勤、業務、それに伴う帰宅)理由の移動を、すべての延べ移動人数の合計が平時(約7900万)の2割(約1580万)になるまで削減する。仕事理由の移動の71%を削除することにより、徒歩圏での自由移動を50%許可した状況下で、人の流れを平時の2割にすることができる。

 自粛要請により人の流れが2割になったときに想定される人流ネットワークを図4で示す。平時である図2と比べて、圧倒的に人流が抑制されていることがわかる。特に、都心から茨城への移動経路が減少し、都心から茨城へ感染が伝搬しずらくなることが分かる。人流が抑制されることにより人との接触頻度(C)が減り、「基本再生産数(R0)=平均接触距離(D)×接触頻度(C)×接触により感染する確率(P)」が減少し、将来的には感染者は減少していく。しかしながら、離島や山奥を除き、ほぼすべての地域は人流ネットワークで繋がっており、長期に渡り、感染リスクにさらされることになる。これでは、各地域は、安心して経済活動をおこなうこともでできないし、安全が担保されなければインバウンドも見込めない。


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図4 自粛により平時の2割になった人流ネットワーク(約1580万の移動)



6. 人流ネットワークの制御によるウイルスの封じ込め

 ウイルスを他の地域に伝搬させないためには、人流ネットワークを分断する必要があるが、日本では物理的な地域封鎖(ロックダウン)はおこなえない。そこで、テレワーク要請に「自宅が遠い社員を優先する」というルールを追加することにより、人流ネットワークを通じた地域間のつながりを分断し、感染者が他地域に行くことを防止する。

 図4では、会社からの自宅までの距離に関係なく一律に71%のテレワークを要請した。それを、遠くの人から順にテレワークを要請するように修正する。会社から2.5km圏内の社員は全員出社、それ以外はテレワーク。2.5km圏内の業務(外回り)を許可した。この条件下で、同様の71%のテレワークが実現し、人の流れは平時の2割(約1580万の移動)に抑えられる。図5は、2.5km圏内以外をテレワークとし平時の2割となった人流ネットワークを表す。図4とは異なり、地域外への移動が大幅に抑えられ、多くの地域が人流ネットワークで繋がっていない(非連結である)ことが読み取れる。東京都西部の人流ネットワーク、埼玉の人流ネットワーク、横浜の人流ネットワーク、東京都心の人流ネットワークが、相互にほとんど繋がっておらず、千葉や茨城に至っては全く繋がっていない。例えば、横浜で感染者がでたとしても、その感染が東京都心や埼玉に伝搬する経路はほとんどなく、千葉や茨城に至っては全くない。千葉や茨城では感染者がゼロになれば、他の地域で感染者がでたとしても、千葉や茨城の感染リスクはゼロのままで安全を維持できる。また、多くの郊外のベットタウンの地域が、都心部から(非連結で)独立しているため、地域の安全が保て、もし、感染者がある地域にでたとしても、独立したその地域のみに強力な自粛要請をしてウイルスを封じ込めることができる。


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図5 会社から2.5km圏内以外をテレワークとし平時の2割となった人流ネットワーク(約1580万の移動)



7. 長距離通勤者へのテレワーク要請による独立した(非連結)地域の構築

 人流ネットワークにおいて、他の地域から独立した(非連結)地域を多数作ることが、感染防止、コロナ拡散制御において効果的であることが分かった。しかし、テレワーク率を上げるほど、経済活動(生産性)の低下が予想される。本節では、長距離通勤者から順にテレワークを導入した場合における、仕事(出勤、業務、それに伴う帰宅)理由の移動が可能な最長距離と、平時を1としたときの延べ移動人数の比率、テレワーク率、非連結地域の個数との関係を明らかにする。

 図6は、仕事理由での移動が可能な最長の距離を変化させた場合の、平時と比較した延べ移動人数の比率、テレワーク率、非連結地域の個数を表している。ここでは、第5節と第6節と同じく、仕事理由の移動、登校を除く徒歩移動の50%が許可される。また、人流ネットワークにおいてノード(地域)間の延べ移動人数が250人以上の場合に、そのノード間にリンクが存在すると定義した。

 すべての距離∞kmで仕事理由の移動を可能に場合、テレワーク率0 (0%)で、平時と比較した延べ移動人数の比率は、休校と自由移動の制限により0.50 (50%)となり、全601地域は2つの(本土と離島の)非連結地域に分割される。他方、全員がテレワーク 1 (100%)、仕事理由の移動可能距離が0kmだと、仕事と登校を除く徒歩移動の50%のみが許可され、延べ移動人数の比率は0.08 (8%)、多くの地域は他の地域から独立し、人流ネットワークは206個の非連結地域に分割される。

 平時に対して延べ移動人数を0.2 (20%)にするには、仕事理由での移動可能距離が2.5km、テレワーク率が0.71 (71%)となり、東京都市圏は186地域に分断できる。一方で、平時に対して延べ移動人数の比率を0.4 (40%)まで許容できるのであれば、距離は17.5kmまで広げられ、テレワーク率を0.23 (23%)とできるが、これでは東京都市圏は本土と離島の2地域にしか分断できず、常に他地域への感染拡大リスクにさらされる。


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図6 仕事理由での移動が可能な距離が100mから20kmの範囲における、平時と比較した延べ移動人数の比率、テレワーク率、非連結地域の個数。休校の実施と仕事以外の不要不急(自由)移動の制限により、仕事での移動可能距離に依存せず既に平時と比較した延べ移動人数の50%制限が達成している条件下を仮定している。



8. まとめ

 本研究では、物理的な都市封鎖(ロックダウン)をせずに、国民に対する自粛要請に、新たなルール「自宅までの距離の遠い社員を積極的にテレワーク」を追加することにより、首都圏の人流ネットワークを地域ごとに分断し、ウイルスの封じ込めや安全地域を作ることが可能であることを、2008年の東京都市圏(東京、神奈川、埼玉、千葉、茨城)57.6万人の人の流れデータの分析にもとづいて示した。

 東京都市圏を人口密度を考慮して601地域に分割し、これらの人々による延べ約7900万人の「出発地域×目的地域」の移動記録から、地域間の人流(移動)ネットワークを構築した。登校に伴う全ての移動と、仕事以外の50%の移動を自粛することにより、延べ移動人数が約7900万人から約3950万人に半減する。この条件下で、従業員の71%をテレワークに移行することにより、延べ移動人数を平時の2割(約1580万回)におさえることができる。

 全社員に一様にテレワークを要請し、平時の2割を達成したとしても、離島や山奥を除く本土のほぼすべての地域は、巨大な人流ネットワークで繋がっており、人々の移動により広範囲へのウイルスの拡散リスクが存在する。これでは、各地域は、安心して経済活動をおこなうこともできないし、地域の安全が担保されなければインバウンドも見込めない。国民に対する自粛要請に、新たなルール「自宅までの距離の遠い社員を積極的にテレワーク」を追加することにより、この問題は解決できる。出勤者を2.5km範囲内の社員にすることにより、平時の2割の延べ移動人数を達成し、さらに、首都圏を、相互に物理的な移動が生じない186地域に分割することができる。これにより、ウイルス拡散の制御が容易になり、また、安全地域を作ることが可能になる。

 本研究成果は、2008年の人流ビッグデータにもとづいた解析結果である。時代も流れ、自粛により人の流れも変化していることが予想される。大手携帯電話会社が保有する「同意がとれ匿名化され個人情報が保護された携帯電話の移動履歴」から、現時点の人流ビッグデータを作成し、現時点のデータにもとづいた解析を行う必要がある。

 本研究では、地域間にリンクを引く最低延べ移動人数を250人と設定した。この250人は、本来は社会的距離が十分に取れる密度によって定義される人数である。極端に言えば、常に5m空けて移動すれば、250人以上でも感染リスクはほぼなく、リンクなしとすることができる。このリンクを引く最低延べ移動人数を、疫学にもとづいて定義することが今後の課題である。また、本研究では、移動に関して延べ移動人数の削減にのみ注目した。しかしながら、10分間の移動と、3時間の移動とでは、感染リスクが単純計算でも18倍異なる。つまり、「延べ移動人数×延べ移動時間」の削減を考慮する必要がある。移動時間は、移動手段に依存するため、単純に移動距離に比例させることはできない。移動時間を考慮することも今後の課題である。携帯電話の移動履歴があれば、移動時間は測れる。その意味でも現時点の同意のとれた携帯電話の移動履歴が必要である。本研究成果が、COVID-19の撲滅に関する政策を科学的に支援できれば幸いである。


謝辞

 本研究の一部は、科学研究費補助金19K22852、16H02872、東大CSIS共同研究(No. 674)のサポートを受けている。


参考文献

[1] https://pflow.csis.u-tokyo.ac.jp/data-service/data-list/ (2020/4/11に閲覧)

[2] https://www.mlit.go.jp/report/press/city07_hh_000022.html (2020/4/11に閲覧)

[3] http://newspat.csis.u-tokyo.ac.jp/geocode/ (2020/4/11に閲覧)

[4] Dirk Brockmann, Dirk Helbing. Science 342(6164), pp.1337-1342, 2013. DOI: 10.1126/science.1245200

[5] Ajelli et al. BMC Infectious Diseases 2010 10:190 doi:10.1186/1471-2334-10-190

[6] T. C. Germann, et al., PNAS 103 (15), 5935-5940, 2006

[7] Marius Gilbert, et. al. The Lancet 395(10227), pp.871-877, 2020

[8] Moritz U. G. Kraemer, et.al. Science, eaba9757, 2020. DOI: 10.1126/science.abb4218


*行政区画の情報については国土交通省「国土数値情報 ダウンロードサービス」より引用



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本コラム公開後の質疑応答(4/17更新)


質問1

 人の流れを平時の2割に固定した条件下で、出勤可能な範囲を変化させた場合に、東京首都圏が分割される地域数を教えて下さい。


回答1

 出勤可能な範囲を2.5kmとした場合、範囲内の社員が全員出勤したとしても、範囲外の全社員がテレワークをおこなえば、人の流れを8割削減でき、その場合、東京首都圏は地域間で人の流入出がほぼない約190地域に分割できます。一方で、出勤可能範囲を5kmとした場合、範囲内の社員のうち約30%がテレワークをおこなえば、範囲外の全員のテレワークと合わせて、人の流れを8割削減できます。そのときは約110地域に分割されます。分割される地域数は、出勤可能範囲の拡大に伴い急激に減少し、出勤可能範囲を10kmとした場合には、範囲内の社員を約50%テレワークにすることで8割削減が実現できますが、東京首都圏は約25分割しかできません。この結果を表すのが下記の図7です。

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図7 人の流れを平時の2割に固定した条件下での、出勤可能な範囲、その範囲内のテレワーク率、東京首都圏の分割地域数



質問2

 どのように東京首都圏が地域間で人の流入出がない複数の地域に分割されるか可視化してください。


回答2

 出勤可能な範囲を2.5km (範囲内のテレワーク率0%)とすると、 延べ移動人数は平時の80%減を達成し、東京都市圏は、図8のように地域間で人の流入出がほぼない約190地域に分割できます。出勤可能な範囲を10km(範囲内のテレワーク率50%)とすることにより80%減を達成、首都圏は、図9のように千葉県の外房と茨城県の霞ヶ浦の東部の複数地域のみが都心部から独立するのみで、約25地域にしか分割されません。したがって、私見にはなりますが、出勤可能な範囲はできるだけ、50分割以上可能な7.5km範囲内にしていただきたいです。

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図8 出勤可能な範囲を2.5km (範囲内のテレワーク率0%)での地域分割。地域間で人の流入出がある地域は同じ色でまとめている。

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図9 出勤可能な範囲を10km (範囲内のテレワーク率50%)での地域分割。地域間で人の流入出がある地域は同じ色でまとめている。



質問3

 首都圏を人の流入出のない186地域に分割したあとの、コロナウイルス撲滅のシナリオはありますか?


回答3

 人の流入出のない複数地域に分割後、2週間待つ、感染者がでなかった地域間の移動を許可して安全地域として結合する。感染者が出た地域は強い自粛により、ウイルスを撲滅させる。撲滅後に、安全地域に結合する。このようにして、経済活動が可能な地域を広げていきます。


*行政区画の情報については国土交通省「国土数値情報 ダウンロードサービス」より引用