ワーキングペーパー グローバルエコノミー 2017.11.08
本稿では、政府債務にかかる経済的大惨事(disaster)のリスクを取り込んだモデルを構築することで、長期停滞を説明する新たな視座を提供する。モデルによると、大惨事において大規模な資本課税が賦課されるという恐怖によって、日本の長期停滞の約3分の1が説明できる。政府債務の累増に伴い、大惨事の確率および経済的影響が増加していく中、生産については、水準だけでなく伸び率も持続的に低下していくことが示される。一方、国債の利率は低位に抑えられる。また、社会厚生の点で、恒久的な消費税の引き上げの方が望ましい。本稿では、最後に、将来の資本課税が賦課されるという期待について、歴史的、理論的、そして政治的な視点で議論を行う。
Secular Stagnation and Low Interest Rates under the Fear of a Government Debt Crisis(英語) (PDF:794KB)