メディア掲載 財政・社会保障制度 2017.10.31
相手企業の支配権を伴わない程度の株式を保有し、取引などの基礎となる信頼関係を構築するという株式の「政策保有」は、わが国の企業文化に根差した商慣習である。2015年に東京証券取引所などが公表したコーポレートガバナンス・コード(企業統治指針)では、株主資本の効率的活用と価値創造への投資を促す観点から、「政策保有株式を保有する場合」は「政策保有に関する方針を開示すべき」と定められている。
他方、金融庁の「スチュワードシップ・コード(機関投資家の行動規範)とコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議」では、コードで規律されない被保有側の企業の問題、つまり自社の株式を他社に「政策保有させている」企業の問題が指摘された。取引上の力関係次第では、自社の株式を取引相手に政策保有させて、他の株主からの圧力を緩めることが可能になるので、この点に懸念が表明されたのである。
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日本経済新聞 「経済教室」2017年8月30日掲載