自由貿易を経済学者は難しく説明しすぎているようだ。貿易は我々が日常行っていることである。ブドウ農家ならブドウを生産することで一定の金額の収入を得る。でもブドウを作るのには長けていても、生活するためにはコメや牛乳などの食べ物、衣類、電気製品や車も必要だ。ブドウを売って得た収入金額の一部を使ってそれらを購入する。これが貿易である。
すべてを自分で作る自給自足では、とても現代人のような生活はできない。世の中には、農産物の生産、自動車やテレビの製造、音楽の演奏、料理など、それぞれに長けた人や企業がいる。それぞれが自分の最も得意とする分野に集中して財やサービスの提供を行えば、社会全体の供給を最大にすることができる。貿易とはこうして作られた財やサービスを交換することである。
しかし、ブドウを誰が購入してくれるかわからない。また、欲しいものを誰が作ってくれるのかわからない。この誰かを見つけようとするととんでもない時間や費用がかかってしまう。これを提供してくれるのが貨幣と市場である。...