メディア掲載 財政・社会保障制度 2016.10.25
日本銀行は9月20、21日の金融政策決定会合で、長短金利を誘導目標とする新たな緩和の枠組みを決め、引き続き2%インフレの達成を目指す姿勢を強調した。ここで日銀はデフレ期待を払拭するためにオーバーシュート型コミットメント(2%のインフレが実現してからもしばらくは緩和政策を継続するという約束)も決めた。
9月29日の本欄で日銀の内田真一企画局長が表明しているとおり、その背景には、期待は「過去の経験」に引きずられる、という「適合的期待」の仮定がある。その場合は、日銀が2%インフレに強くコミットすることで、過去のデフレの経験によってできた「デフレ期待」を吹き飛ばそう、という発想は単純明快で正当なものである。
しかし、過去の経験だけでなく、将来の不安が期待に影響しているとしたら、ことはそれほど簡単ではない。
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日本経済新聞 「経済教室」2016年10月17日掲載