メディア掲載 財政・社会保障制度 2016.06.23
財政を巡る政策論議は、この20年で、ぐるりと一周して元に戻ってきたかのようだ。
1990年代初頭、バブル崩壊後の日本では、財政出動と減税で景気を刺激しさえすれば不況を脱出できる、と皆が信じ、巨額の財政政策を毎年繰り返した。90年代も今とまったく同じ議論をしていたのだ。違いといえば、当時は国の借金は少なく、高齢化も進んでいなかったことである。
90年代の財政出動や減税は、景気を回復させられなかった。結局、財政政策は、バブル崩壊で過剰債務を背負い込んだ企業に国家が金を与えて借金の負担を肩代わりし、企業の過剰債務を国家の借金に移し替える政策だった。それは、財政政策という名を借りた暗黙の不良債権処理(徳政令に似た債務免除)だった。・・・
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日本経済新聞 「経済教室」2016年6月20日掲載