北朝鮮がまたやってくれた。1月の「水爆」実験に続き、今月7日には長距離弾道ミサイル発射実験を強行した。いずれも安保理決議違反だが、金正恩(キム・ジョンウン)第1書記は意に介さない。なぜ今なのか、とよく聞かれた。春節に合わせたか、金正日(ジョンイル)総書記の誕生日2月16日前を狙ったのか。
筆者はいつもこう答える。「北朝鮮で流れる時間はわれわれとは異なる」と。科学者ではなく、核兵器製造技術にも疎い筆者だが、北朝鮮の動きにパターンがあることぐらいは分かる。北朝鮮が核兵器開発を本格化させたのは1993年頃だが、NPT(核拡散防止条約)脱退を宣言したのは2003年1月。それ以降の北朝鮮の動きには法則があるようだ。
06年7月 ミサイル発射実験▽同年10月 第1回核実験▽09年4月 ミサイル発射実験▽同年5月 第2回核実験▽12年4月 ミサイル発射失敗▽同年12月 ミサイル発射▽13年2月 第3回核実験▽16年1月 第4回核実験▽同年2月 ミサイル発射実験。
以上の通り、北朝鮮は03年からほぼ3年おきにミサイル発射と核実験を相前後して行っている。例外は金正恩が第1書記に就任した12年だが、何らかの理由で計画が遅れたのだろう。要するに、北朝鮮は技術的または資金的な理由でミサイル発射や核爆発の実験を約3年に1回のペースで進めている。北朝鮮での時間は、われわれとは異なり、「3年サイクル」で勝手に流れている可能性が高いのだ。
一方、金正恩時代になって変わったこともある。国営ニュースは、東倉里発射場近くに設けられた管制施設のバルコニーから、発射されたミサイルを見上げる金第1書記の姿を報じた。これが合成でなければ、金第1書記は発射当日現場にいたということになる。米中韓いずれも妨害などできないと足元を見たのか。何とも大胆不敵な振る舞いだ。
筆者の見るところ、金第1書記が不遜な態度で米中韓の足元を見る理由はこうだ。
日本ができることには限りがある。だが、日本の地政学的利益は、独立、自由、民主、非核で繁栄し、米軍が駐留する統一朝鮮半島だ。これだけは忘れないでほしい。