メディア掲載 グローバルエコノミー 2015.07.21
コメの内外価格差は解消し、逆転した。無税の輸入枠があるが、中国からもカリフォルニアからも輸入されなくなった。国際価格よりも国内価格が低いなら、環太平洋連携協定(TPP)交渉で関税を維持する必要はないし、価格維持のために減反をする意味はない。生産を増やし、いまよりも高い価格で輸出できるからだ。減反が廃止されれば、コストダウンで日本米の競争力はさらに強化される。水不足でカリフォルニアのコメ農業は存亡の危機を迎えている。日本米がアメリカに上陸するときが到来した。
TPP交渉とコメ
TPP については、農産物も含め全ての関税を撤廃するというレベルの高い協定を目指していると報道され、TPP交渉に入るかどうかをめぐって、国論を二分するような論争が行われた。農産物関税の撤廃を阻止するため、農協は1,000万人以上の反対署名を集めた。
日本だけでなく、アメリカでも、TPP交渉は秘密交渉であると批判されている。ただし、政府間の交渉だけでなく、民間の交渉も含め、どの交渉にも秘密はつきものだ。どの国がどのような主張をしているのかが秘密にされるのは当然だ。TPP反対派の国会議員は、協定案文へのアクセスが認められていないのは不公平だと主張している。しかし、守秘義務がかかるので、協定案文を見ても、交渉内容を公に批判できないというのでは、最終結果を見ることに比べて、大きな差があるというものではない。しかし、どのような方針で日本政府が交渉に臨んでいるのかについては、国会で十分に議論し、それを交渉に反映できるはずだ。日本の場合、交渉の対処方針が、十分に議論されたり、明示されないまま交渉が行われているのではないだろうか。・・・