メディア掲載  グローバルエコノミー  2015.02.19

農協改革の必要性と効果-失敗しても大きな意義-

「金融財政ビジネス」 (2015年2月5日号掲載)

農業を衰退させて農協は発展

 日本の農業は高い関税により、米国やオーストラリアなどの農産物から保護されてきた。それにもかかわらず、農業、特にコメ農業が衰退するということは、その原因が米国などにあるのではないことを示している。本当の原因は日本の国内にある。

 政治は、日本農業の中でコメを最も保護してきた。しかし、最も弱体化したのはコメである。コメは50年前までは農業生産額の半分を占めていたのに、今では畜産にも野菜にも抜かれ、2割のシェアを維持できるかどうかの農業となってしまった。なぜ、こんなに弱くなってしまったのだろうか?

 所得とは、価格に生産量を掛けた売上額から、コストを引いたものである。売上額を増やすか、コストを下げれば、所得は増える。政府は1961年に「農業基本法」を制定し、農業の規模拡大によってコストダウンを図り、農業所得を増加させて、農業と工業の所得格差の是正を図ろうとした。

 しかし、実際の農政は、コメの価格を上げた。農地面積が一定で規模を拡大することは、農家戸数を減少させるということである。農民票を減らすというのは、政治的に人気のない政策である。コメ農家の戸数を維持したい農協も、農業基本法の構造改革に反対し、生産者米価引き上げの大政治運動を展開した。米価が上がれば農協の販売手数料収入も増加する。・・・


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