メディア掲載  グローバルエコノミー  2014.12.08

農業と農地問題

土地総合研究 2014年秋号に掲載

1.農業問題の諸相
 農地問題を語る前に、日本農業が今置かれている状況について、簡単に説明しよう。
(1)農業問題の諸相
 我が国農業の総産出額は1984 年の11 兆7 千億円をピークに減少し、2011 年には8.2 兆円とピーク時の約3 分の2 の水準まで低下した。なかでも米の減少が著しく、農業総産出額に占める米の割合は、1960 年ころはまだ5 割だったのに、2010年には20%を切ってしまった。農業収益が低下し、子弟が後を継がない。それで、農業者が農業を続けざるをえなくなって、高齢化する。65 歳以上の高齢農業者の割合は、1960 年の1 割から6 割に上昇した。耕作放棄地は2010 年埼玉県や滋賀県の面積に等しい40 万ヘクタールまでに拡大している。 
 他方で、農業衰退の中でも、2010 年に農産物販売額が1億円を超えている経営体は5,577もある。これ以下の階層の経営体が軒並み減少する中で、この階層だけは5 年前より9.5%も増加している。・・・

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