メディア掲載 グローバルエコノミー 2014.09.25
米価が昨年より2割ほど低下している。
米の値段も、野菜などの商品と同じく、需要と供給で決まる。需要が多くなれば、価格は高くなるし、供給が多くなれば、価格は下がる。瑞穂の国の日本といえども、米だけ特殊ではない。では、なぜ米価は下がるのだろうか。突然消費者が米を食べなくなり、需要が減少したわけではない。今年大豊作となったわけでもない。何か変だ。
一昨年、昨年産の米価は、作柄が良かったので、下がるはずだった。それなのに、米価は逆に高くなった。突然消費者が米をたくさん食べるようになったわけではない。これも変だ。タネ明かしは簡単だ。農家から集荷した生産者団体が、市場への供給を抑えたので、米価が上がったのだ。
生産が多いのに供給を少なくすれば、生産者団体の米在庫が増える。いずれこの大量の在庫は放出される。つまり、今年の米の供給は、今年産の米の生産量にこの在庫を加えたものとなる。だから、今年産米価は下がったのだ。
生産者団体は、米価は再生産可能なコストを下回っており、農業依存度の高い主業農家に影響が生じると主張している。政府に市場で米を買わせて、米価を高い水準に戻そうというのだ。しかし、これは、自らの価格操作で増えた在庫を、税金で政府に肩代わりしろというものだ。
主食である米の値段が下がることは、消費者にとって良いことだ。消費税増税の逆進性を緩和するため、食料品に軽減税率を適用しようとしている政府が、米価を上げてはならない。主業農家には、財政から直接支払いを交付すればよい。米価低下は、高米価から直接支払いへ農政を転換する好機だ。