メディア掲載  グローバルエコノミー  2014.07.18

農協改革事始め-タブーが60年ぶりに政治議題に-

「金融財政ビジネス」 (2014年7月3日号掲載)

 1955年、総理大臣の座を狙っていた大物政治家、河野一郎農林大臣が農協から信用(銀行)事業を分離しようとして挫折して以来、タブーだった農協改革が60年ぶりに政治の議題に上がった。当初、規制改革会議がまとめた改革案は、農協の政治力を排除し、農協が作り上げた農業の高コスト体質を改善しようとする、本格的な提案だった。戦後最大の圧力団体である農協は、地方出身の自民党政治家を動かし、必死の抵抗を試みた。自民党によってかなり骨抜きにはされたが、自民党も規制改革会議改革案の枠組みや項目自体は拒否できなかった。これまでの安倍政権による減反の見直しなどは、効果が期待できないものだったが、農業の構造改革を拒んできた農協を、将来抜本的に改革できれば、減反の廃止も実現できるだろう。農協と農業の改革はこれからだ。


協同組合原則に反する農協

 本来の協同組合は、利用者である組合員が自主的に作る組織である。農家のような小さな事業者も、協同組合を作ることで、市場での交渉力を高め、資材を安く購入したり、製品を高く販売できる。

 その原則は、「利用者が所有し、管理し、利益を受ける」という簡単なものである。株式会社の場合は、株主ではない不特定多数の人に製品やサービスを販売し、その利益の配分を株主が受ける。これに対して、協同組合では、組合の所有者が製品やサービスを購入する利用者である。組織の重要な事項について決定するのも、利用者である。・・・


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