メディア掲載  グローバルエコノミー  2014.05.13

協同組合とは何か?

愛媛新聞2014年3月14日掲載

 農協改革が政治議題に上っているが、協同組合とは何だろうか?

 米国農務省の「協同組合の作り方」という冊子では、協同組合とは、そのサービスを利用する人々によって、所有され、管理される事業体である。

 その目的は、組合員にサービスを提供することで、組合員の所得や生活を改善するなど、組合員により多くの利益を与えることである。例えば、協同組合は、小さな事業者をまとめて市場での交渉力を高めたり、事業者の生産物を加工することで付加価値を付けたり、資材やサービスを安く提供したり、組合員一人だけでは利用できないような資材やサービスを提供することができる。

 その原則は、「利用者が所有し、管理し、利益を受ける」という簡単なものである。株式会社の場合は、株主だけが会社の製品やサービスを購入するのではない。株式会社は、株主ではない不特定多数の人に製品やサービスを販売し、その利益の配分を株主が受ける。これに対して、協同組合は、製品やサービスを購入する人が所有者で、営利を目的としない。組織の重要な事項について投票し、決定するのも、利用者である。

 農協には、正組合員である農家以外に、利用はできるが、意思決定には関与できない准組合員制度がある。准組合員が正組合員を上回るようになった組織が、"農業"の"協同組合"だろうか?

 子会社を作ることで、不特定多数の人に製品やサービスを販売し、営利を目的としていないか?農協の組合員は、他よりも安く、肥料などの農業資材を購入しているか?全国段階の巨大な農協連合会組織に、独占の弊害はないか?

 農協の制度、運用や実態が、協同組合原則に合致しているのかという視点からの議論を期待したい。