メディア掲載  グローバルエコノミー  2014.01.29

農業立国への道(中) 農地集約・規模拡大を阻む農地法を廃止せよ

ダイヤモンドオンライン に掲載(2014年1月22日付)

 農業立国を実現するには経営規模を拡大する必要がある。それを阻害しているのが1952年にできた「農地法」だ。そもそも戦後、農村が共産主義化・社会主義化するのを防ぐ意図で作られたこの法律が、零細農家中心という構造を固定化してしまった。その後改革は行われたものの、農地の集約化・経営の規模拡大にはほとんど役立っていない。農地を集約し規模拡大を実現するには土地利用を定めるゾーニング規制を強化する一方、農地法を廃止する必要がある。



                      

■防共政策に利用された農地法

 前回論じた食管・減反による高米価政策と並んで、農地法と農協法は戦後農政の3本柱だった。高米価政策を是正するだけでは、日本農業を農政という桎梏から解放するのに十分ではない。本年の規制改革会議で、農地制度と農協が取り上げられようとしている。今回は、農地制度の何が問題なのか、どう改革すればよいのか、を論じたい。

 戦前の農政は、「小作人の解放」と「零細農業構造の改善」を目標とした。前者は農地改革で実現したが、これによって自作農=小地主が多数発生し、零細農業構造を固定させてしまった。

 しかし、1952年にGHQ(連合国軍最高司令官総司令部)の要求で制定された「農地法」は、これを改善しようとするのではなく、維持しようとしたものだった。他の経済改革と違い、農地改革だけは、日本政府、農林省の発案だった。最初GHQは農林省の農地改革案に「ノー・オブジェクション」とだけ言い、全く関心を示さなかった。しかし、GHQはやがてその政治的な重要性に気づく。・・・


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