メディア掲載  グローバルエコノミー  2013.12.19

農業にこそTPPは必要 このままではコメは安楽死

ダイヤモンドオンライン に掲載(2013年12月11日付)

 自民党や国会の委員会は、コメなど5品目を関税撤廃の例外とし、これが確保できない場合は、TPP交渉から脱退も辞さないと決議した。だが、関税撤廃による米価の低下で本当に困るのは農協なのだ。関税を撤廃し減反政策をやめ、直接支払方式に転換すれば、米価が下がって消費者負担は軽減し、コメ輸出拡大の道も開ける。



                      

 ■問題の本質は"TPPと農協"

 自民党や国会の委員会は、コメ、麦、牛肉・豚肉、乳製品、砂糖などを関税撤廃の例外とし、これが確保できない場合は、TPP交渉から脱退も辞さないと決議した。農業票が気になる国会議員にとっては、関税維持が国益のようだ。

 しかし、関税で守っているのは、国内の高い農産物=食料品価格だ。農家保護のために、国際価格よりも高い農家保証価格を維持するためには、関税が必要となる。

 コメを例に取ろう。関税で国内市場を国際市場から完全に隔離しているので、国内の需要と供給で決まる市場価格は国際価格よりも高くなる(今は国際価格が上昇しているので、下回る可能性も出てきた。これについては、次回、詳しく述べる)。さらに、減反で供給を減少させるので、国内価格はさらに高くなる。消費者は、関税と減反で二重の負担をしている。

 それだけではない。コメの場合はほぼ100%自給しているが、麦、砂糖、牛肉など他の農産物については、相当量の輸入が行われている。消費者は、国産農産物だけでなく輸入農産物についても、高い価格を負担している。例えば、消費量の14%に過ぎない国産小麦の高い価格を守るために、86%の外国産麦についても関税を課して、消費者に高いパンやうどんを買わせている。

 多くの政治家は、貧しい人が高い食料品を買うことになるとして、消費税増税に反対した。食料品の軽減税率も検討されている。その一方で、関税で食料品価格を吊り上げることは、政治家にとって国益なのだ。・・・


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